- 2026/07/30 06:50 掲載
EVの悪夢再び? 熱狂の中国AI・ヒト型ロボット開発に迫る危険すぎる“過当競争”(3/3)
空前のAIとヒト型ロボットの開発ブームは本物か
現在、中国では空前のAIおよびヒト型ロボット開発ブームが起きている。とりわけ2025年1月、中国の若い技術者たちが開発した生成AI「DeepSeek」が発表されたことを契機に、中国発AIの実用化に対する期待が一気に高まった。DeepSeekのサクセスストーリーは、中国国内のナショナリズムの高まりとも見事に合致した。なぜなら、同社は米国の最先端半導体チップに依存せず、計算手法の工夫によって米オープンAIのChatGPTに匹敵する性能を実現したと主張したからである。
しかし、その後の検証では、当初の説明には誇張が含まれていた可能性が指摘されている。また、DeepSeekだけでなく、アリババの「通義千問」を含む中国の大規模言語モデル(LLM)についても、海外の先行モデルを蒸留(Distillation)によって活用していることが広く知られている。蒸留そのものはAI開発において一般的な手法であり、ルール違反ではない。しかし、中国製AIの性能や独自性については、なお慎重な評価が必要だろう。
「レアメタル―半導体―AI―ヒト型ロボット」というバリューチェーンにおいて、現在、米中両国は激しい覇権争いを繰り広げている。その中で、中国が最も優位性を持っているのはレアメタルやレアアースの供給である。
一方、半導体分野では、中国企業は14ナノメートル級の半導体チップの量産に成功している。さらに7ナノメートル級の製造も可能になったとされるが、歩留まりや量産能力については依然として課題が残されていると指摘されている。
ヒト型ロボットについても、米中両国は激しい開発競争を展開している。産業用ロボットの分野ではすでに社会実装が進んでいるが、一般家庭やサービス業で活用される生活支援型ロボットについては、なお実用化の途上にある。
中国メディアは、ハーフマラソンを完走するロボットや武術を披露するロボットを盛んに報道している。しかし、現時点ではこれらの多くが事前にプログラムされた動作を実演するものであり、人間と同等の判断能力や汎用性を備えているわけではない。ヒト型ロボットの本格的な社会実装には、なお時間を要すると考えられる。
よくいわれるように、半導体を制する者がAIを制し、AIを制する者が次世代産業を制する可能性が高い。その意味で、中国のAIとヒト型ロボット開発における最大のボトルネックは、依然として最先端半導体技術にある。
習近平政権の“閉じたイノベーション”が招く矛盾
習近平政権は技術の「自立・自強」を掲げているが、最先端技術の発展において重要なのは、むしろオープンイノベーションである。世界中の研究者や技術者が国境を越えて競争し、協力しながら技術革新を進めることが、長期的な発展につながる。
中国のAIとヒト型ロボット産業が持続的に成長できるかどうかは、技術力そのものだけでなく、こうした開放的なイノベーション環境を維持できるかどうかにもかかっている。
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