• 2026/09/07 06:50 掲載

【単独】パナソニックが今、70年の常識を自ら壊すワケ…新シェーバーに隠された覚悟

連載:家電で読むメーカー戦略図鑑

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パナソニックが、男性美容市場の取り込みに本腰を入れている。その象徴が、2026年9月1日に発売された電気シェーバー「ラムダッシュ パームイン PRO6枚刃」だ。手のひらサイズの独特な形状で人気を集め、2024年末には同社シェーバー販売金額の約3割を占めたパームインシリーズ。パナソニックは2027年度にこの比率を5割以上に高める目標を掲げる。なぜ70年続くシェーバー事業で、あえて“握らないシェーバー”を次の主役にするのか。その背景には、買い替え需要に依存しない新たな市場づくりがあった。
執筆:IT・家電ジャーナリスト 安蔵 靖志

IT・家電ジャーナリスト 安蔵 靖志

一般財団法人家電製品協会認定 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)、スマートマスター。AllAbout 家電ガイド。日経BP社「日経ネットナビ」「日経ネットブレーン」「デジタルARENA」「日経トレンディネット」などを経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。ラジオ番組の家電製品紹介コーナーの構成などにも携わっている。著書に『家電ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)。

【単独】パナソニックが今、70年の常識を自ら壊すワケ…新シェーバーに隠された覚悟の画像
左からマーケティング担当の田中氏、開発担当の永島氏、商品企画担当の池田氏
(写真:筆者撮影)

“変わり種”が絶好調、パナが狙うシェーバーの新定番

 パナソニックの電気シェーバー「ラムダッシュ パームイン」シリーズのフラッグシップモデル「ラムダッシュ パームイン PRO6枚刃」が2026年9月1日に発売された。

 ラムダッシュ パームインシリーズは、手のひらに収まるようなサイズ感と、従来のグリップタイプとは異なる操作感で支持を広げてきた。

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【画像付き記事全文はこちら】70年続くパナソニックのシェーバー事業、その常識を自ら壊しに行く狙いを聞いた
パナソニックが2026年9月1日に発売した「ラムダッシュ パームイン PRO6枚刃」シリーズ。左からフラッグシップモデルの「ES-P690U」(直販価格8万4,150円)と「ES-P680U」(同7万5,240円)。スタンダードモデルの「ES-P650U」(同5万4,450円)はマーブルホワイトとマーブルブラックの2色を展開
(写真:筆者撮影)

 さらに同社は、2028年末にラムダッシュ パームインシリーズを同社内のシェーバー販売金額シェア5割以上にするという目標を掲げている。今回発売した「ラムダッシュ パームイン PRO6枚刃」は、その目標に向けてシリーズ人気をさらに引き上げる戦略的モデルだと考えられる。

 なぜパナソニックは、70年続くシェーバー事業で、従来型とは異なる“新たな主役”を模索しているのか。新モデルの企画、設計、マーケティング担当者への取材から見えてきたのは、単なる新製品投入ではない、同社の強い覚悟だった。
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社内でも賛否…70周年モデルに“変わり種”を選んだパナの覚悟

 手首を使ってなでるように剃るスタイルのラムダッシュ パームインシリーズは、当時も今も主流であるグリップタイプとは大きく異なる新しいシェービングスタイルなこともあり、2023年の登場時にはコンセプチュアルな新機軸の製品であり、主流になることはないのではないかと筆者は考えていた。

 しかし2025年にシェーバー事業開始70周年を迎えたパナソニックが記念モデルとして発売したのはグリップタイプではなく、「ラムダッシュ パームイン70th ANNIVERSARY EDITION(ES-PV70)」だった。

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シェーバー事業開始70周年を迎えたパナソニックが2025年6月に発売した「ラムダッシュ パームイン70th ANNIVERSARY EDITION(ES-PV70)」(直販価格4万3,560円)
(写真:筆者撮影)
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2025年9月に実施された彦根工場のプレス向け見学会で事業戦略を語ったパナソニック くらしアプライアンス社ビューティ・パーソナルケア事業部長の南波嘉行氏(現 パナソニック 常務執行役員)
(写真:筆者撮影)
 パナソニック くらしアプライアンス社ビューティ・パーソナルケア事業部長の南波嘉行氏(現 パナソニック 常務執行役員)は、2025年9月に実施された彦根工場のプレス向け見学会で「未来の定番作りを目指し、デザイン・技術基点で開発を行いました」と語っていた。

「この商品を出すことで、主流となっている高機能タイプシェーバーである6枚刃、5枚刃を否定するのではないかという危惧が社内でもありましたが、新たな提案をしていかなければ、常に新たなライフスタイルや価値観を持つお客さまには役立てないため、このシェーバーの発売を決心しました」(南波氏) 【次ページ】壊れたから買う時代は終わる? 新市場をひらいた意外な需要
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