• 2026/09/10 06:50 掲載

成城より「亀有・金町」? 路線価は10年で約2倍に…東京の“東側”が選ばれ始めたワケ

連載:小林拓矢の鉄道トレンド最前線

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7月に発表された2026年分の「路線価」。その中で目を引くのが、東京東側エリアの上昇だ。東京メトロ千代田線を介してつながる小田急小田原線とJR常磐緩行線は、一方に成城、もう一方に亀有や金町を抱え、沿線イメージは対照的である。ところが近年、足立区や葛飾区では人口が増え、不動産価格も上昇している。「セレブ路線」と「庶民路線」というイメージとは裏腹に、両沿線には意外な“実力差”があるのだ。なぜ常磐緩行線は注目され、いま選ばれているのか。比べてみよう。
執筆:鉄道ライター 小林 拓矢

鉄道ライター 小林 拓矢

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学教育学部社会科社会科学専修卒。「東洋経済オンライン」「ITmedia」「マイナビニュース」などに執筆。Yahoo!ニュースエキスパート。単著に『京急 最新の凄い話』(KAWADE夢文庫)、『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)など。共著に『関西の鉄道 関東の鉄道 勝ちはどっち?』(新田浩之氏との共著、KAWADE夢文庫)、首都圏鉄道路線研究会『沿線格差』『駅格差』(SB新書)などがある。

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なぜ亀有では路線価が約2倍に? 小田急vs常磐線で分かった「東京東側」の強さ
(写真:イメージマート)

2026年路線価で見えた「下町人気」の現在地

 東京の交通網には、郊外を走る鉄道が都心部で地下鉄に乗り入れ、そのまま反対側の郊外へつながる路線がいくつもある。各路線が単独で完結するのではなく、複数の路線が連携することで、都市全体の移動を支えているわけだ。

 その代表例の1つが、東京メトロ千代田線と、そこへ乗り入れる小田急小田原線、JR東日本の常磐緩行線である。

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同じ千代田線につながっていても、沿線の評価は大きく異なる。だが、いま住宅地としての“実力差”を左右しているのは、従来のブランドイメージだけではない
(Photo:Tupungato / Shutterstock.com)

 ただ、千代田線を挟んだ両側の沿線イメージは大きく異なる。世田谷区の高級住宅街を走る小田急線は「セレブでハイソな路線」、足立区や葛飾区を走る常磐緩行線は「庶民的な路線」と見られやすい。

 世田谷区の小田急線沿線には、高名な文学者や経営者らが暮らしてきた。一方、葛飾区と聞けば、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の世界を思い浮かべる人もいるだろう。

 実際、成城学園前駅からバスに乗れば、大きな屋敷が並ぶ住宅地が広がる。対して亀有駅周辺にはスーパーや飲食店、マンション、一戸建てが並び、亀有公園では子どもたちが遊ぶ。街の雰囲気はたしかに対照的だ。

 しかし、このイメージだけで「小田急線沿線は今後も選ばれ続け、常磐緩行線沿線はそうではない」と考えるのは早い。むしろ最近のデータや報道を見ると、足立区や葛飾区など、千代田線から常磐緩行線へつながる東京東側の評価が大きく変わっていることがうかがえる。
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【路線価比較】世田谷が上昇、亀有では10年で約2倍の地点も

 象徴的なのが、2026年7月1日に国税庁が発表した2026年分の路線価だ。

 小田急線側の代表格である成城は、長年にわたって高級住宅地として知られてきた。

 しかしこのエリアでは相続税負担などを背景に、土地の売却を考える住民も多いという。土地をマンション用地として売却したり、分筆して比較的手ごろな住宅として販売したりするケースも見られ、空き地も目につくとのことだ。

 一方で、東京東側ではさらに大きな変化が起きている。7月1日のNHKの報道によると、東京東側では路線価が大きく上昇しており、葛飾区の亀有では、この10年で約2倍になった地点もあるという。つまり、東京東側では、この10年で土地の評価が大きく上昇した地点も出てきていることになる。

 葛飾区の事例として紹介されたのが、JR常磐緩行線・亀有駅から約400メートルの住宅地だ。亀有では、地価上昇に驚く住民の声も紹介されている。古くから住んでいた人が土地を売却して転居し、その跡地にマンションやビルが建つ。そこへ地域外から新しい住民が移り住む。そんな変化が起きているという。

 その半面、自治会に加入する人が減るなど、地域の課題も生まれている。街の更新が進む中、建物だけでなく住民構成そのものも変わりつつあるのだ。

 成城の人気が落ちたわけではない。それでも、「西側の高級住宅地が強く、東側は割安」という従来の東京の住宅地イメージだけでは説明できないほど、足立区や葛飾区の評価は変わってきた。では、なぜいま常磐緩行線沿線に人が集まっているのだろうか。 【次ページ】【人口比較】亀有・金町の人口増…データに見る“人気の正体”
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