- 2026/09/03 06:20 掲載
熊本地震で再注目、災害時にEV「二刀流」の実力…移動だけじゃない「強み」とは
1955年(昭和30年)生まれ。玉川大学工学部機械工学科流体工学研究室卒業。1978~81年フォーミュラレースに参戦、81年にFJ1600で優勝。84年からフリーランスライター。著書29冊。一般社団法人日本EVクラブ理事。NPOトリウム熔融塩国際フォーラム会員。日本モータースポーツ記者会会員。公益社団法人自動車技術会会員。自動車を含め環境やエネルギー問題に取り組む。
災害時にEVが果たし得る「小さくない役割」
令和8年熊本地震は、最大震度7という気象庁が定める震度階級で最も強い揺れとなった。10年前の熊本地震も同じ震度7であった。クルマに関しては、ガソリンスタンドに長蛇の列ができ、車中泊する中で燃料切れにより空調が効かず、熱中症で亡くなる方も出た。
こうした災害時において、EVが果たし得る役割は小さくない。
災害とEVの関係は、15年前の東日本大震災に遡る。
EVの本格的な市場展開は、2009年に三菱i-MiEVが、翌10年に日産リーフ(LEAF)が市販されたのがはじまりだ。東日本大震災の発生は、それから間もなくであった。
製油所や、輸送のための道路の被害が大きく、ガソリンスタンドへの補充がなかなか再開できなかった。
それに比べ電力の復旧は早く、EVであれば移動が可能になった。
とはいえ、EVはまだ普及段階になく、三菱自動車と日産自動車は、2社合わせて150台あまりのEVを支援のため貸与した。
電気とガソリン、どちらが先に復旧?
過去の災害を振り返ると、電力網は比較的早く復旧する傾向がある。たとえば東日本大震災では、発災後3日で約8割、8日で約94%が復旧した一方、ガソリンなどの石油製品は供給網が大きな被害を受け、発災後2週間の東北地域への移入量は平常時の需要量の約1/3にとどまった。石油不足が解消したのは発災後4週件目で、地域によってはさらに入手困難な状況が続いた。
とはいえ、電力の復旧に時間を要した災害もある。2024年の能登半島地震だ。発生から2週間を経てなお、当初停電していた戸数の約2割で停電が続いていた。山間部が多く、道路が寸断されたことなどが原因だ。
電力確保が、ほかの社会基盤(ガス、水道、下水、ガソリンなど)に比べ復旧が早いと断言はできない。しかしながら、早めの復旧を期待できるエネルギーとはいえそうだ。令和8年熊本地震では、3日ほどで高圧配電線への送電が完了している。
災害時に役立つ「EVの仕組み」とは
東日本大震災の経験を踏まえ、EVに新たな装備が追加された。ヴィークル・トゥ・ホームV2H(Vehicle to Home)や、V2L(Vehicle to Load)である。VtoHは、EVから家庭などへ電力を供給することを指す。VtoLは、EVから電化製品などへ電力を供給する機能をいう。
これらにより、系統電力が停電しても、EVに充電された電力で家や施設へ電気を供給したり(専用の機器の設置が必要)、電化製品への給電で、スマートフォンの充電や炊飯器でご飯を炊いたりできる。
クルマが無事であれば、EVが蓄電池として当面の電力確保に役立つのである。 【次ページ】軽EVでも「約2日」使える?“電池持ち”を試算
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