- 2026/10/26 06:20 掲載
【補助金争奪戦】AI企業乱立でヤバい…習近平政権を待つ“作りすぎ”のワナ(2/2)
半導体の壁だけではない…中国AIを待つ「過剰投資」の罠
太陽光パネルやEV産業と同じ轍を踏む可能性があるのが、AIとヒト型ロボットの産業である。第15次5カ年計画でも、AIやロボットは重点分野として位置付けられている。不動産不況が長期化する中、住宅関連の家具や家電などの産業も厳しい状況に置かれている。こうした中、エアコン、洗濯機、冷蔵庫などの白物家電メーカーも、新たな成長分野としてロボット開発に参入している。政府が重点的に支援する産業に参入すれば、補助金などを獲得できる可能性があるからだ。しかし、補助金を目当てとした新規参入が相次げば、過剰投資と過剰生産を招く恐れがある。
中国のAI・ロボット産業には、先端半導体へのアクセスという制約もある。AIの高度化やロボットの知能化には、高性能な半導体が欠かせない。しかし、米国を中心とする輸出規制により、中国企業が最先端の半導体や製造装置を入手することは難しくなっている。
日本やオランダなどが製造装置の供給に関わる中、先端技術へのアクセス制限は中国の半導体産業にとって大きな課題である。ただし、これは中国が半導体をまったく入手できないという意味ではなく、特に最先端分野で制約が強いということである。
中国ではAI開発企業やロボットメーカーが相次いで登場している。しかし、企業数や投資額が増えたからといって、必ずしも技術革新や収益化が進むとは限らない。AIでは先端モデルの開発競争が続き、ロボットでは実用性、コスト、安全性などが普及の課題となっている。
中国国内でも、AIやロボット分野への過剰投資を懸念する声が出ている。問題は、習近平政権が減速する中国経済を立て直すため、これらの新産業に大きな期待を寄せていることだ。
AI・ロボットの普及で「若者の雇用」はどうなるか
マクロ経済の観点から見ると、AIやロボットの普及は生産性を高める一方、省力化によって一部の雇用を減らす可能性もある。中国では若年層の雇用問題が依然として重要な課題である。需要不足が続く中で供給能力ばかりを拡大すれば、製品やサービスが売れず、企業の投資意欲も弱まる。そうなれば、AIやロボット産業も、過剰投資と収益悪化によって成長が行き詰まる恐れがある。
再生の鍵は「作る力」ではなく「買う力」
習近平政権にとって、2027年の共産党大会を前に、経済再生を印象付ける成功例を示すことは重要だろう。しかし、限られた政策資源を投入するには、優先順位を明確にしなければならない。目下、中国経済が直面している大きな課題の1つは、内需不足とデフレ圧力である。
供給能力をさらに拡大するだけでは、この問題の解決にはつながらない。AIやロボットへの投資を持続的な成長につなげるには、技術開発を促すだけでなく、需要を創出し、企業が適正な利益を確保できる市場環境を整えることが不可欠である。
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