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  • 2023/08/16 掲載

日本も世界も“本気”に? 兆単位で流通する中央銀行デジタル通貨の最前線とは

FINOLABコラム

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日本銀行は、2023年7月20日に初会合を行った「CBDCフォーラム」において、2020年10月に発表した「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針」を踏襲、「現時点でCBDCを発行する計画はないが、決済システム全体の安定性と効率性を確保する観点から、今後のさまざまな環境変化に的確に対応できるよう、しっかり準備しておくことが重要」という方針を強調しているが、海外の主要通貨当局の動きも勘案すると、あまりのんびりしていられない状況もみえてくる。そういう点では、これまでの机上の調査研究から、導入に向けた実証的な検討に移行しつつあることが感じられる。こうした現状を整理してみたい。

執筆:FINOLAB Head of FINOLAB 柴田 誠

執筆:FINOLAB Head of FINOLAB 柴田 誠

FINOLAB設立とともに所長に就任。東大経済学部卒、東京銀行入行、池袋支店、オックスフォード大学留学(開発経済学修士取得)、経理部、名古屋支店、企画部を経て1998年より一貫して金融IT関連調査に従事。2018年三菱UFJ銀行からMUFGのイノベーション推進を担うJDDに移り、オックスフォード大学の客員研究員として渡英。日本のフィンテックコミュニティ育成に黎明期より関与、FINOVATORS創設にも参加。

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CBDCをめぐる日銀の動きと世界の状況とは?
(Photo/Shutterstock.com)

CBDCフォーラムの設定

 日本銀行は、2023年2月17日に公表した「中央銀行デジタル通貨に関する実証実験について」において4月から「パイロット実験」を実施するとし、検討作業に民間事業者の技術や知見を反映していく観点から「CBDCフォーラム(以後「フォーラム」)」の設置を発表し、4月に公募を実施、7月20日の「フォーラム」活動開始とともに、参加企業が発表された。
<フォーラム参加企業>
 日銀は公募を行い、以下の観点による選定を行って、参加企業を発表している。
  (1)リテール決済に関する事業面・技術面でのご知見および実績、
  (2) それらとフォーラムで議論・検討を行うテーマとの関連性、
  (3)参加者の多様性やフォーラムで議論・検討を行う幅広いテーマをカバー
 発表された参加企業60社を分類すると以下のようになる。

金融機関と関連企業
イオン銀行、静岡銀行、常陽銀行、しんきん共同センター、しんきん情報システムセンター、 セブン銀行、全国銀行資金決済ネットワーク、大和証券、大和総研、千葉銀行、 東京海上日動火災保険、日本証券クリアリング機構、野村證券、野村総合研究所、 ふくおかフィナンシャルグループ、みずほ銀行、三井住友海上火災保険、三井住友銀行、 三井住友信託銀行、三菱UFJ 銀行、ゆうちょ銀行、横浜銀行、りそなホールディングス、JPX 総研

決済サービス
インフキュリオン、キャナルペイメントサービス、ことら、ジェーシービー、トヨタファイナンシャルサービス、 ナッジ、フェリカネットワークス、マネーフォワード、メルペイ、楽天ペイメント、ローソン、au ペイメント、NTTドコモ、PayPay

ブロックチェーン関連
コインチェック、ソラミツ、トレードワルツ、BOOSTRY、Datachain、SBI R3 Japan、 Startale Labs Japan

その他(IT企業等)
セコム、ソニー、ソフトバンク、大日本印刷、日本電気、日本マイクロソフト、パナソニック コネクト、 東日本旅客鉄道、日立ソリューションズ、日立チャネルソリューションズ、BIPROGY、 NRI セキュアテクノロジーズ、NTT データ フィナンシャルテクノロジー、TIS、TOPPAN エッジ

フォーラムの運営

 CBDCフォーラムの運営にあたっては、複数のワーキンググループを設置して議論を活性化していくとしており、以下のようなスケジュールが想定されている。

画像
ワーキンググループの進め方イメージ

 まず、2023年第3四半期には以下のようなワーキンググループの検討開始を予定している。

[WG1]CBDCシステムと外部インフラ・システム等との接続
  • 既存サービスとの接続方式および各種事務運行を整理したうえで、CBDCシステムとの間で取りうる接続方式について、将来性を含め、理解を深める。
  • CBDCシステムと仲介機関の接続に伴う、技術面や運用面の留意点について理解を深める。 (勘定系システムとの接続やインターネットバンキングアプリ等との連携といったテーマの検討を想定)

[WG2]追加サービスとCBDCエコシステム
  • CBDCの追加サービスについて概念整理や類型化を試みるとともに、CBDCシステムを「追加サービスの提供基盤」として位置づけたときに、備えることが望まれる技術的な特性や性能について検討。
  • CBDCエコシステムが持続可能な形で発展するために、どのような工夫が求められるかを検討。 (CBDCのビジネス活用、追加サービスにかかるCBDCシステムの外部連携、CBDCエコシステムのデザインといったテーマの検討を想定)

 さらに、2023年第4四半期以降は以下のようなテーマでワーキンググループの設定を予定しているが、内外の情勢や議論の進捗に応じて、随時変更や見直しを行うものとしている。
  • KYCとユーザー認証・認可
  • 新たなテクノロジーとCBDC
  • ユーザーデバイスとUI/UX
  • 他の決済手段との水平的共存
  • 基本機能の事務フロー
【次ページ】兆単位で流通する中央銀行デジタル通貨の最前線

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