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  • 2023/10/19 掲載

迫る「経済安全保障対応」、対象の金融機関や業務・政府への届け出条項とは?

大野博堂の金融最前線(67)

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8月29日に公表された金融行政方針では「わずか6行」しか言及されなかった経済安全保障対応だが、まもなく金融庁から金融業務における対応要件がガイドラインとして公表され、あわせて法の対象となる第一弾の金融機関が公示される見通しだ。関連法対応で最も厳しい要件となるのは重要な委託先を含めたサードパーティリスク対応だ。そこで本稿では改めてその要件について整理してみよう。

執筆:NTTデータ経営研究所 パートナー 金融政策コンサルティングユニット長 大野博堂

執筆:NTTデータ経営研究所 パートナー 金融政策コンサルティングユニット長 大野博堂

93年早稲田大学卒後、NTTデータ通信(現NTTデータ)入社。金融派生商品のプライシングシステムの企画などに従事。大蔵省大臣官房総合政策課でマクロ経済分析を担当した後、2006年からNTTデータ経営研究所。経営コンサルタントとして金融政策の調査・分析に従事するほか、自治体の政策アドバイザーを務めるなど、地域公共政策も担う。著書に「金融機関のためのサイバーセキュリティとBCPの実務」「AIが変える2025年の銀行業務」など。飯能信用金庫非常勤監事。東工大CUMOTサイバーセキュリティ経営戦略コース講師。宮崎県都城市市政活性化アドバイザー。

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経済安全保障対応を見据えたサードパーティリスク管理とは?
(Photo/Shutterstock.com)

米国に追随した格好での規制

 2017年に成立した中国の国家情報法を受け、にわかに米中対立が際立つことになった。ちょうど当時に勃発したのがファーウェイ問題である。

 これを受け当時のトランプ米大統領は、2019年5月に「外国敵対者との情報通信技術・サービス(ICTS)に関する取引を一定の場合に禁止する大統領令」に署名し2021年3月22日に「商務省規則」として発効した。

 そこでの要件は、米国企業・米国人が「外国の敵対者」の勢力下にある者が設計・開発を行ったICTSの調達・輸入・設置等を行う場合、または行った場合、関係省庁がその順法性・妥当性を審査する、というものだ。

 米国に追随し、日本でも令和4年に経済安全保障推進法が成立。令和5年4月には政府ガイドラインとして基本方針が閣議決定された後、令和5年6月、金融分野でも内閣府令がパブコメに付され、今に至る。

 経済安全保障法はすべての企業や組織が対象ではなく、安全保障や国のインフラを担う企業や組織のみが対象とされており、金融、原子力・電力、防衛、通信、交通、といった14のインフラ分野が該当するとされた。

 目下、各省庁で各インフラ分野に向けたガイドラインの整備が進んでいる最中であり、この10月に、経済産業省が貿易管理や企業への支援のあり方に関する新たな行動計画を取りまとめることが決まっている。

要件は旧ココム規制より厳格なものに

 日本における経済安全保障対応は、内容的には、「対共産圏輸出統制委員会(ココム)規制」に近しい内容とも言える。旧ココム規制では共産圏への特定物資や武器などの輸出規制が主たる要件であったものの、経済安全保障においては利用規制が中心となっている(図)。

 中でも金融業務に影響を与えるのは図に示した政府の基本方針における「3.基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度」である。

画像
経済安全保障推進法の概要
(出典:内閣官房「経済安全保障推進法案の概要」)

 各インフラ事業者が対象となるため、これを金融業務として読み替えた場合、金融機関の勘定系の設置・更新を行う場合には、その妥当性について政府機関が審査のうえ安全性を確認した後に使用を許可する、といった理解となる。 【次ページ】対象の金融機関や業務、政府への届け出条項とは?

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