- 2025/05/05 掲載
塾も教科書もいらない? 勉強のモチベ管理も?「ChatGPT最強チューター」時代の衝撃
連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質
リスキリングには「個人チューター」が必須
ChatGPTは、勉強や学習を進めるためのチューターになる実力を備えているが、実際の勉強や受験準備でどの程度利用されているだろうか? これについては、いくつかの調査が行われている。勉強のためにChatGPTを利用している学生の比率は実はそれほど高くなく、半分以下だ。想像していたほどには利用されていない。これは、学校システムの教育体制が充実しているために、わざわざそれ以外の手段に頼る必要はないためだろう。
では就職して以降の、自己研修やリスキリングにおけるChatGPTの利用状況はどうだろうか?
技術や経済活動の変化が急速になり、それに合わせて個人の能力を高める「リスキリング」の役割が高まった。しかし、そのための教育体制は充実していない。
学校教育(特に高校まで)では、あらゆる学生に共通の内容を教育する。しかしリスキリングにおいて教育すべき内容と水準は、人によって大きく異なる。したがって多人数を集めての講義方式ではなく、個人ごとのチューターが必要になる。
このため、多くの人々がChatGPTにチューターとしての役割を求めて、さまざまな試みを行っている。
Webにあふれる「ChatGPT活用の勉強体験談」
資格試験のためにChatGPTを用いて勉強した体験談が、Webには多数掲載されている。ChatGPTに尋ねると、検索して具体的な事例を教えてくれる。その際、資格名を明記して質問するほうが良い。つまり、「資格試験でChatGPTを活用して勉強し、合格した事例はありませんか?」と聞くのではなく、たとえば「行政書士の試験でChatGPTを活用して勉強し、合格した事例はありませんか?」、または「行政書士の試験でChatGPTを活用して勉強し、合格した体験談が、Webにありませんか?」などと聞くのが良い。
ほんのわずかの違いだが、質問をこのように具体的にするだけで、得られる情報が格段と増える。行政書士試験だと、かなり多数の体験談がある。
驚いたことに、税理士試験でもChatGPTを用いて独学で合格した事例が報告されている。この人は企業のCFOをやっていたので、すでにかなりの基礎知識があった。その意味では特殊なケースと言える。しかし、税理士試験でさえChatGPTで合格可能というのは、重要な情報だ。
公認会計士試験については、ChatGPTを用いた独学で合格した体験談は見出せなかった。しかし、近い将来に現れるだろう。 【次ページ】【チューター役を頼んでみた】ChatGPTが支援してくれる5点
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