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- 2025/05/13 掲載
楽天銀行が巨額預金を獲得、BaaSやステーブルコインが「金利ある世界」で輝くワケ
NTTデータに新卒で入社、金融機関向けのシステム開発に従事した後、メガバンクのITグランドデザイン策定プロジェクトに参画を機にコンサルタントとしてのキャリアをスタート。金融機関のIT戦略、テクノロジー戦略、テクノロジー起点の事業創造などを主なテーマとしてとりあつかう。情報発信も積極的に実施しており、「Web3と自律分散型社会が描く銀行の未来」(金融財政事情研究会)などの著書や雑誌への寄稿も多数。
足元の金利上昇と銀行の動き
ここ最近、銀行による預金を集める動きが増えている。新聞などのマスコミ報道においても、銀行での預金金利の引き上げの話が報じられている(注1)。筆者は2024年3月の日銀ゼロ金利政策の解除がもたらした結果、こういった動きが増加していると理解している。この流れが今後続いていくのかどうかについては、日銀が金融政策をどうしていくのかにもよるとは思っているものの、物価の上昇基調も考えればこの流れは当面続くものと考える。
おそらく銀行も金利のこれからの上昇を想定して対応を進めていると理解している。金利の上昇基調を前提とした場合に、銀行が預金を集めることは合理的ではある。
ただし金利が高ければ預金者は集まってくる一方、金利自体は市場で決定されることが前提であり、市場金利から大きく乖離したレートで預金を集める場合には、それ以上のレートで運用する先の融資先、投資先を持っていない限りは継続性という観点では疑問符がつく。
また高い金利を提示することで獲得できる預金者は、往々にして金利に対する感応度が高い預金者であり、他の銀行でより高い金利の預金があればそちら側に流れていく可能性も高い。
銀行が本来求めているのは預金残高の増加とともに、粘着性の高い預金である。粘着性の高さも目標にして預金獲得を目指すとなると、より難易度は上昇するがこの状況が変わり始めているのだ。 【次ページ】なぜ、楽天銀行は「粘着性の高い」巨額預金を獲得できたか?
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