• 2026/04/06 掲載

AIの「制御不能」は防げるか?「人間の最終判断」が“限界”を迎えるとき

連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質

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AIが自ら判断し動くとき、人間は本当に介入できるのか。AIエージェントの普及によって、「人間が最後に判断する」という前提が揺らぎ始めている。どう制御し、どの頻度で介入すべきか。この状況は現実世界で繰り返される「権力の集中」の問題とも重なる。では、どう向き合うべきか。
執筆:野口 悠紀雄

野口 悠紀雄

1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを歴任。一橋大学名誉教授。
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野口ホームページ:https://www.noguchi.co.jp/

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AIによる不測の事態をいかに止めるか
(AI(Gemini/Nano Banana)を使用して生成)

【事故多発】AIエージェントの深刻さ

 これまでの生成AIは、情報を出力するだけだった。その情報を信じるか否か、その情報をどのように用い、何をするかは、人間が決めた。

 AIエージェント(自律型AI)は、この状況を大きく変える。AIエージェントは、最終的な目的を達成するために、自ら推論・判断し、外部ツール(メール、カレンダー、データベースなど)を駆使して行動する。つまり、単に情報を出力するだけでなく、実際に行動するのだ。

 したがって、誤動作したり、暴走した場合の被害は、これまでのAIとは比べものにならないほど大きくなる。AIエージェントは、その自律性のために、従来の生成AIには存在しなかったリスクを生み出す可能性があるのだ。

 この問題は、可能性にとどまるものではない。3月23日の本欄で述べたように、すでにいくつかの深刻な事故が発生している。

制御不能を前提とした「フェイルセーフ」の考え方

 こうした事態に備えるため、いくつかの措置が必要とされる。私が最も重要だと思うのは、「フェイルセーフ」の原則だ。

 これは、システムや機器が故障したり、異常事態に直面した場合に、システムや機器が自動的に安全な状態に移行し、人命の損傷や被害を最小限にするという設計思想だ。

 たとえば、列車の信号システムで故障が発生した場合には、すべての信号が自動的に赤を表示し、列車を停止させ、衝突を防止する。あるいは、踏切の遮断機の電源が故障した場合には、自重で遮断棒が下がる。石油ストーブが転倒すると、自動的に火が消える、などである。

 フェイルセーフは、鉄道、原子力、製造設備、ITシステムなど、安全が求められるあらゆる場面で、不可欠な概念になっている(なお、これに似た概念として「フールプルーフ」がある。これは「人の操作ミスを未然に防ぐ」ことだ)。 【次ページ】暴走してからでは遅い…異常挙動を「止める」2つの新常識
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