- 2026/04/03 掲載
「未成年SNS規制」の衝撃…日本は?訴訟乱発でも禁止できぬ“米国の本音”と次の急務
連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤
米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の基礎を学ぶ。現在、米国の経済を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』などの紙媒体に発表する一方、『Japan In-Depth』や『ZUU Online』など多チャンネルで配信されるウェブメディアにも寄稿する。海外大物の長時間インタビューも手掛けており、金融・マクロ経済・エネルギー・企業分析などの記事執筆と翻訳が得意分野。国際政治をはじめ、子育て・教育・司法・犯罪など社会の分析も幅広く提供する。「時代の流れを一歩先取りする分析」を心掛ける。
16歳未満は禁止の衝撃──「SNS」は「いじめ」より脅威?
近年増加する若年層のSNS利用に伴ういじめ、依存、心身への悪影響などへの強い懸念から、各国で若年層利用に関する「SNS規制」の動きが活発化している。米世論調査大手のピュー研究所が2024年に1254人の保護者と13~17歳のティーン1059人を対象に実施した調査では、「ティーンの心の健康にとって最大の脅威は何か」という問いに対し、保護者・ティーン双方で「SNS」が「いじめ」を抜いてトップを占めた。
当事者たちもSNSを「脅威」と認識する中、最近で注目を集めたのは、2025年12月10日、16歳未満によるFacebook、Instagram、YouTube、TikTok、Snapchat、X(旧Twitter)など主要ソーシャルメディア(SNS)の新規アカウント作成および既存アカウントの保有を制限する法律を施行したオーストラリアだろう。
この法律は、対象となるSNSプラットフォーム運営企業10社に対し、「合理的な年齢確認措置」を課す義務を定めたものだ。年齢確認の方法として、(1)利用者の自己申告、(2)生年月日確認、(3)顔認証や行動データなど先端解析テクノロジーを用いた年齢推定(Age Inference)を採用。違反の罰則はプラットフォーム側のみに課され、子供やその保護者は対象にならない。
では、こうした強力な規制は本当に機能するのか。そもそも、SNSの利用を年齢で一律に制限することは、「子どもを守るための現実的な安全措置」なのか、それとも「過剰な介入」なのか──。実はこの問いこそが、各国の対応を大きく分けている。
SNS規制は「暴挙」か「安全措置」か?揺れる世界の判断
オーストラリアだけでなく、米国でも一部でティーンのSNS利用を制限しようとする動きがある。中西部ミネソタ州のキース・エリソン司法長官は2025年8月に、中国のバイトダンス(字節跳動)傘下であるTikTokが同州の消費者保護法に違反して、ティーンを中毒状態にするアルゴリズムを採用しているとして提訴した。同州は2023年に同様の訴訟を米メタ・プラットフォームズ傘下のInstagramとFacebookに対しても起こしている。
一方、西部ニューメキシコ州の陪審は2026年3月に、メタがプラットフォームの危険性をユーザーに警告せず、児童を性的搾取者から守らなかったとして同社に3億7,500万ドル(約595億円)の損害賠償を命じた。これに対してメタは不服申し立てを行う予定だ。
こうした中、2028年の米大統領選に出馬が取りざたされる民主党のラーム・エマニュエル前駐日米国大使は2025年12月に、「米国はオーストラリアの手本にならい、16歳未満によるSNS利用を禁止すべきだ」とXに投稿して注目を集めた。エマニュエル氏は次期大統領選の有力候補とされ、SNS規制が次の大統領選の争点になる可能性がある。
2025年1月には、共和党のケイティ・ブリット上院議員とテッド・クルーズ上院議員、民主党のクリス・マーフィー上院議員とブライアン・シャッツ上院議員が、超党派で13歳未満のSNS利用を禁じる法案を提出しているが、成立には至らなかった。
米下院においても2024年に同様の法案が上程されたものの、不成立となっている。2026年に同法案の復活が見込まれるが、もし下院を通過しても上院で阻止されると見込まれている。
なぜ米国ではSNS規制が困難なのか。 【次ページ】日本も同じ? 訴訟乱発でも…米国でSNS規制が進まない理由
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