- 2026/07/27 06:30 掲載
「これ何だっけ」が即解決する時代へ…ChatGPTが破壊した「情報アクセス格差」の正体(2/3)
名前で検索する時代は過去になる
この問題を大きく変えたのが、画像を理解できる生成AIである。安全ピンという名前が思い出せなければ、実物をスマートフォンで撮影し、その写真をChatGPTに見せればよい。そして、「これは何という名前の商品ですか」と尋ねる。
すると、AIは写真を読み取り、「安全ピン」と答える。さらに、「これより大きなものは何と呼びますか」「厚い布を留めるのに適した種類はありますか」「オンラインショップでは、どのような言葉で検索すればよいですか」などと質問を続けることができる。
AIは、「大型安全ピン」「キルトピン」「カブトピン」「ストールピン」などの候補を示し、それぞれの用途の違いも説明する。ここには、従来の検索からの大きな変化がある。
従来は、人間が正しい商品名を検索エンジンに入力する必要があった。それに対して、生成AIでは、まず実物を見せ、曖昧な言葉で説明し、対話を重ねながら適切な名称に近づくことができる。
人間が検索機械の仕組みに合わせるのではなく、機械の側が人間の曖昧な認識に歩み寄るようになったのである。
単なる「画像検索」との決定的な違いは何か
写真から物を探す技術は、生成AIによって初めて生まれたわけではない。Googleレンズや植物判定アプリなどを使えば、以前から写真を手がかりに商品や植物を検索できた。したがって、生成AIの革新性を、単に「写真から名前を調べられるようになったこと」だけに求めるのは、正確ではない。
本当の変化は、画像認識と自然な対話とが一体化したことである。つまり、人間を相手にするのと同じようになったのである。
従来の画像検索では、写真に似た画像や関連するWebサイトが一覧で示され、利用者自身がその中から答えを探す必要があった。これに対して生成AIは、画像の内容を言葉で説明し、利用者の目的に応じて回答を変える。
生成AIは、画像を分類するだけではない。利用者が何を知り、何をしたいのかを対話によって確かめながら、現実の物を、検索や購入に使える言葉へと翻訳するのである。
「言葉にできない」人ほど救う、ChatGPTが壊す情報社会の壁
これまでの情報技術は、基本的に言葉を出発点としていた。検索、通信販売、行政手続き、商品の注文など、多くの仕組みは、利用者が対象の名称や分類を知っていることを前提としている。しかし、人間の認識は、必ずしも言葉から始まるわけではない。
「見たことがある」「このような形だった」「この部分に使われていた」「以前、文房具店で買った」などというように、映像や経験として記憶されており、それを表す名称だけが分からないことは多い。
従来のコンピューターは、こうした曖昧な認識を扱うのが苦手だった。正しい言葉を入力しなければ、正しい答えを返せなかったのだ。
生成AIは、この制約を緩和する。完全な文章で説明できなくても、写真、音声、断片的な言葉を組み合わせれば、AIが利用者の意図を推測し、情報を探すための言葉を提示してくれる。
これは単に検索が便利になったということではない。言葉にできないために情報社会から排除されていた人を、情報の世界に迎え入れる変化なのである。 【次ページ】情報格差の縮小、コンピューター言語を学ぶ時代は過ぎ去った
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