- 2026/09/10 11:55 掲載
GPT-6 Astraで「2027年ASI(人工超知能)説」再燃、今起きている“3つの大異変”
「2027年にASI」が再燃、Astraはそこまでヤバいのか
米OpenAIは9月3日、最新AIモデル「GPT-6 Astra」を発表した。Astraは複数の難関ベンチマークで前世代を大きく上回り、未知の環境への適応力などを測る「ARC-AGI-3」では99.9%、難度の高い数学問題を集めた「FrontierMath Tier 4」では98%を記録した。実務タスクを測る「AutomationBench」も41.4%となり、GPT-5.6 Solの18.1%から急上昇している。この数字に敏感に反応したのが、海外のAIコミュニティーだ。9月8日には「GPT-6 Astraは2027年のASIへのカウントダウン通りに進んでいる」とする投稿がRedditで300を超えるupvotesを獲得。同じ「AstraがAI 2027の予測曲線に乗った」とする議論は別のAIコミュニティーにも広がった。Reddit では、「予測より速い」とみる声と「まだAGIですらない」とする反論がぶつかっている。
ここでいう「AI 2027」とは、元OpenAI研究者のダニエル・ココタジロ氏らが2025年に公開したAIの未来シナリオだ。2027年にコーディングやAI研究の自動化が急速に進み、その先で人間をはるかに上回るASI(人工超知能)が登場する世界を描いた。AI 2027は、発表当初からAI研究者やテクノロジー業界で賛否を呼んできた。
もちろん、Astraが99.9%を取ったから「ASIが2027年に誕生する」と結論づけることはできない。ARC Prizeによると、この99.9%はOpenAI側のコンテキスト管理機能などを利用したProvider Adapter条件での成績で、各社共通条件のStandard harnessでは62.7%だった。ARC Prize自身も、ARC-AGI-3で高得点を取ることがAGIの証明を意味するわけではないとしている。
それでも、前世代からの伸びは無視できない。では、本当に見るべき「異変」はどこにあるのか。実はベンチマークの99.9%より、さらに興味深い数字がOpenAI内部から出ている。
性能99.9%よりヤバい、OpenAI内部で起きていること
OpenAIが9月6日に明らかにした研究現場のデータは、Astraのベンチマークとは別の意味で衝撃的だ。同社によると、2026年6月までAIエージェントの総稼働時間は人間の労働時間を下回っていた。ところがその後に逆転し、8月中旬には、人間の労働1日当たり「3.1 agent-workdays」のAIエージェントが動くまでになったという。ただし、これは「AIによって研究者の生産性が3.1倍になった」という意味ではない。8時間を1日として換算したAIエージェントの総稼働量が、人間の労働量の3.1倍に達したという数字である。複数のAIを並行して走らせられるからこそ生まれる、機械側の膨大な労働量だ。
それでも重要なのは、AIを作る研究組織そのものが「人間だけで研究する状態」から急速に変わり始めたことだろう。OpenAIでは研究者が日常的にコーディングエージェントを利用し、複数のエージェントへ同時に仕事を任せる使い方も増えているという。
そして同社は、2025年に掲げた「automated research intern(自動研究インターン)」の目標に到達したと説明する。人間から与えられた明確な研究タスクについて、熟練研究者なら数日かかる仕事をAIが進められる段階である。
OpenAIが次に掲げるのが「automated AI researcher(自動AI研究者)」だ。同社は、人間の監督下ではあるものの、より広範なAI研究を自動で進められる水準を2028年3月までに実現する目標を示している。
ここで興味深いのは、AIが単に資料を要約したりプログラムを書いたりするだけではなく、「さらに賢いAIを作る仕事」の一部に入り始めていることだ。これは人間の一般的な仕事をAIが奪うという議論とは、意味が少し違う。AIがAI開発を支援し、その結果として次世代AIの開発速度が上がる。そして、より高性能になったAIがさらに多くの研究を担う。この循環が本格化すれば、AIの進歩速度そのものが変わる可能性がある。
まさに、「AI 2027」が描いた世界の核心部分である。 【次ページ】「AI 2027」は外れた?むしろ“核心”は生きている?
AI・生成AIのおすすめコンテンツ
AI・生成AIの関連コンテンツ
PR
PR
PR