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  • 2023/12/19 掲載

【ドバイ航空ショー】自衛隊・川崎重工業・ナブラモビリティを取材、何を見せた?

連載:「北島幸司の航空業界トレンド」

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英仏、シンガポールと並ぶ世界3大航空ショーと言われる第18回ドバイ航空ショーが、11月13日~17日まで、5日の会期を終え閉幕した。注目のボーイングとエアバスの受注競争はボーイングの圧勝。世界最大級の見本市として盛大に開催されたにも関わらず、日本からの出展は少なく、自衛隊、川崎重工業、スタートアップのナブラモビリティにとどまった。出展した3団体への取材を交え、同ショーを振り返る。

執筆:航空ジャーナリスト 北島 幸司

執筆:航空ジャーナリスト 北島 幸司

航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する記事や連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。世界の航空の現場を取材し、内容をわかりやすく解説する。テレビ、ラジオの出演経験もあり、航空関係の講演を随時行っている。ブログ「Avian Wing」の他、エアラインなど取材対象の正式な許可を得たYouTube チャンネル「そらオヤジ組」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。

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2023年ドバイ航空ショーの開幕式でUAEのアクロバットチーム、アル フルサンと編隊飛行するエミレーツ航空のA380
(写真:相良静造撮影)

ドバイ航空ショーで展示された次世代担う注目の3機種

 2023年11月13日~17日に開催された第18回ドバイ航空ショーは、20カ国がパビリオンを構え、95カ国以上から80の新興企業を含む1400を超える団体が出展した。190を超える航空機が地上展示、毎日10以上の航空機が飛行展示を行った。

 展示機のうち、筆者が選んだ特徴ある3社の機体を紹介したい。

 1つ目はカタール航空が展示させた、エアバスA350-1000、ボーイング787-9、ガルフストリームG650ERの3機種。アラブ首長国連邦(UAE)とカタールの国交断絶が解け、6月から相互に大使館業務が再開したことから、両国の友好の証しとして航空機が並んだものと思われる。

 2つ目は、ビッグツインと呼ばれるボーイング777-300ERSF。従来の777Fよりも20%搭載量が増えた世界最大の双発貨物機である。コロナ禍において航空貨物業務の重要性が見直されたことから、大型貨物機が並んだのだ。イスラエルのイスラエル・エアロスペース・インダストリーズとアイルランドのエアキャップが共同で地上展示させていた。

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イスラエル・エアロスペース・インダストリーズとエアキャップのボーイング777-300ERSF
(写真:相良静造撮影)

 3つ目は、モルディブを拠点とする航空会社の「ビヨンド」が展示させた、オールプレミアムクラスのエアバスA319。

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ビヨンドのA319
(写真:相良静造撮影)

 最大で156席配置できる機体に44席のプレミアムシートを配置。コロナ禍で控えた人々の旅行熱は、一部高級志向に向かっており、ラグジュアリートラベルが注目される。将来は、A321シリーズの機体で東京への就航も考えられている。

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ビヨンドのA319のラグジュアリーな機内
(写真:相良静造撮影)

航空機材の受発注の結果はボーイングの圧勝

 航空機材の受発注については、中東、欧米、アフリカの航空会社からの発注が堅調だった。今年のドバイ航空ショーでは3つの大きな傾向が表れている。

 まず1つ目は、メーカーの偏りだ。ボーイングの受注機数がエアバスの3倍以上にもなったのだ。

 要因としては、エアバス機に装着されたエンジンの問題により、地上に留め置かれる機材が世界中で発生したことがある。また、ボーイング737Maxの設計改修が終了し、世界で運航再開になったことと、ボーイング777Xの型式証明取得にめどがついたことも要因である。

 2つ目は、地域の偏りだ。地元中東とアフリカからの受発注が多いのは例年通りであるが、今年は欧米も含まれた。一方、アジアとオセアニアの航空会社からは皆無であった。

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ドバイ航空ショーでの各航空会社の総受発注数(2023年)
(出典: FlightGlobal analysis of Dubai air show announcementsより筆者作成)

 3つ目は、ワイドボディ機材の発注比率が高かったことだ。世界の旅客機機体数は、ナローボディ機がワイドボディ機の4倍以上になる。LCCも含めて、近・中距離路線の需要が格段に多いからだ。それが、同ショーではそれぞれが半数という結果となった。以下はその詳細だ。

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ドバイ航空ショーでのセグメント別オーダー機数(2023年)
(出典: FlightGlobal analysis: firm orders include MoUs; options include purchase rightsより筆者作成)

 この傾向は珍しいと言える。3年以上のコロナ禍で、航空機の買い控えが発生し、ワイドボディ機の保管や売却を余儀なくされた航空会社は多い。コロナ収束の傾向の中、長距離移動の需要回復が予測よりも早く、ワイドボディ機の需要があり、その傾向が発注にも現れたと思える。 【次ページ】日本から出展の3団体、自衛隊・川崎重工業・ナブラモビリティを取材

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