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  • 2023/07/04 掲載

【独自】三菱重工 MHIRJ 山本CEOを直撃、再起なるか?「未来の航空事業像」

連載:「北島幸司の航空業界トレンド」

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コロナ禍前となる2018年、筆者の目の前でMRJ(三菱リージョナルジェット、その後三菱スペースジェットに改名)はファーンボロの空を華麗に飛行した。あれから5年、三菱重工を取り巻く環境は大きく変わった。順調に進めばローンチカスタマーのANAに引き渡されているはずだった機体は、試験飛行を行うアメリカで解体されてしまった。この先、三菱重工が手掛ける航空機事業の再起はあるのだろうか。パリ航空ショー会場で、三菱重工グループのMHI RJ AVIATION ULC.(以下MHIRJ)の 山本 博章CEOに直接話を聞いた。

執筆:航空ジャーナリスト 北島 幸司

執筆:航空ジャーナリスト 北島 幸司

航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する記事や連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。世界の航空の現場を取材し、内容をわかりやすく解説する。テレビ、ラジオの出演経験もあり、航空関係の講演を随時行っている。ブログ「Avian Wing」の他、エアラインなど取材対象の正式な許可を得たYouTube チャンネル「そらオヤジ組」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。

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2023年パリ航空ショー会場の三菱重工展示ブース
(出典:筆者撮影)

三菱重工のグループ MHIRJとは

 2023年3月に三菱重工は機体の開発中止により三菱スペースジェット(MSJ)を解体した。そしてこれまで通り、ボーイングとエアバスなどの1次サプライヤー(Tier 1)メーカーとして航空機部品を供給し続けるという選択肢を取り、パリでの展示もその内容に沿ったものになった。

 筆者は、完成機事業への可能性を検証すべく多角経営のボンバルディア社の中のCRJ事業を買収した三菱重工グループのMHIRJに注目した。同社はモントリオールに本社を置く会社。事業拡大の商談のために航空ショーの場はうってつけであり、三菱重工の展示ブースにおいてMHIRJは紹介されていた。

 MHIRJは、CRJのメンテナンス・リペア・オーバーホール(MRO)事業が中心だ。その中でCRJの新規製造を継続することは一つの選択肢として考えられる。CRJの製造を行うことで、MROとの両方で事業を展開することが可能だ。


 これはCRJのもう一つ上のサイズのボンバルディアCS100、CS300型機事業をエアバスが買収した事例がある。エアバスは、CS機の工場ごと買収し、現在は機体名をエアバスのラインアップに変えてA220-100(元CS100)、A220-300(元CS300)として売り出しており、好調に販売数を伸ばしている。

 MHIRJにはCRJシリーズは550/700/900/1000と4機種ラインアップされており、この機体を進化させて再販すべきではないかと考えられる。もちろん、エアバスと三菱重工を単純に比較することはできないことからエアバスにできることが三菱重工にできるとは限らない。

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2018年ファーンボロ航空ショーでAtmosphere(雰囲気)と名付けられ機内アップグレードされたCRJ900型機
(出典:筆者撮影)

 50席から100席クラスのリージョナル機でジェットのカテゴリーのライバルはブラジルのエンブラエル1社しかない。同社とCRJは世界の2強と言われた時期がある。しかし、ボンバルディアがMHIRJに移行し、新規製造を行わないことから実質リージョナルジェットのメーカーとしてエンブラエルは世界唯一の存在となった。

 CRJは地域航空路線や小規模空港での運用に適した機体である。MHIRJがCRJの製造を継続することで、市場ニーズに対応し、顧客に対して継続的なサポートを提供することができる。

MHIRJ山本CEOに聞いた、コロナ禍明けのかじ取り

 パリ航空ショーで出展する三菱重工のブースにてMHIRJの山本 博章CEOに話を聞くことができた。

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パリ航空ショー会場でインタビューに答えるMHIRJ 山本 博章CEO
(出典:筆者撮影)

──コロナ禍明けのこの先にMHIRJの事業をどのようにかじを切っていきますか

山本 博章氏(以下、山本氏):三菱スペースジェットの事業中断は重く受け止めていますが、そこから前に進むために航空機を取り巻くバリューチェーンの中で、どうやって価値を生み出しお客さまや社会に届けるかを考えています。

 航空機購入後のエアラインに向けてのアフターマーケットにこそ商機があると思います。メーカーは物を造って終わりではない。運用後の整備や修理などのさまざまなニーズがあり、将来を見据えてそれらを総合的に請け負おう仕事ができればいいなというのが今の考えです。

 具体的にMHIRJはCRJのMROを行うだけではありません。今ではエンブラエル機を整備する認証を取り、実際に行っています。A220のルーツはCS100/300であり、もともとはボンバルディアなので、今でも設計や製造のノウハウを持つ社員は多くいます。次の段階としてA220シリーズをMROに組み込むことも始めています。 【次ページ】MHRJの描く未来の航空事業像

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