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- 2023/09/29 掲載
【本社潜入】40年の黒字経営「サウスウエスト航空」の独自ビジネス戦略を解剖
連載:「北島幸司の航空業界トレンド」
LCCの先駆者、サウスウエスト航空とは
1971年に就航開始したサウスウエスト航空は、世界初の格安航空会社だ。低価格のチケットとシンプルなサービスにより、広範な顧客層を獲得している。同社が乗り入れた都市はどこも活気づいたことから、同社のビジネスモデルは、米国運輸省(DOT)に「サウスウエスト効果」といわしめたほど。
現在、独自のビジネス戦略とコスト削減策(後述)により、競合他社に対して競争力を維持している。輸送力で全米4位に昇りつめ、創業以来コロナ禍での2020年決算を除き、黒字を確保している。
諸説あるものの、その後同社を学んだエアラインがLCCとして成長する中で、サウスウエスト航空がLCCの元祖といわれることが多い。
機材数は833ですべてボーイング737シリーズに統一している。就航空港は121に達し、就航国数は11カ国になる。
平均ロードファクターは83%を超え、従業員数7万1000人の大会社に成長した。米国の上位50大都市圏のうち49地域にサービスを提供し、23都市でマーケットリーダーとなるシェア22%を誇る。2022年の搭乗者数は、1億2600万人を記録した。
同社の社是は、「フレンドリーで信頼性が高く、低コストの航空旅行を通じて、人々を生活の中で重要なものと結び付ける」。そして、将来に向けたビジョンを「世界で最も愛され、最も効率的で、最も収益性の高い航空会社になること」と定めている。
サウスウエスト航空の独自のビジネス戦略
サウスウエスト航空の強みは、運賃、路線、機材が挙げられる。創業時より格安な航空運賃を提供し、他社のハブシステムに対し、高頻度運航でポイント・トゥ・ポイントの路線開拓をしてきた。これにより、乗り継ぎが少なくし、手荷物のトラブルを抑えることができている。旅客者にとっても、所要時間が短くなるメリットがある。
また、上述の通り、保有する全機体をボーイング737シリーズで統一し、運航、整備、訓練にかかる費用を削減している。
提供されるサービスも独特なものがある。それは、座席指定を無くし、優先搭乗権を購入できるようにしていること。この結果、飛行機の遅延を減らせている。また、手荷物預け入れを無料にすることで、機内持ち込み手荷物が減り、保安検査時間と機内混雑が減ったという。
また、同社のフレンドリーな顧客対応もしばしば話題になる。末端の地上係員にまで、顧客対応の裁量権が与えられているのだ。
創業者の経営手法については、1997年に出版された『破天荒 サウスウエスト航空驚愕の経営』に詳しく述べられている。創業者のハーバート・ケレハーが2019年に亡くなり、現在6代目のCEOボブ・ジョーダンになっても創業時のスピリッツは失われていないようだ。
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