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  • 2025/06/10 掲載

トヨタに迫る快進撃、スズキ「超・絶好調」でも…“今年の減益”は避けられない理由

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米国の関税問題や中国の景気後退など、今、世界最大の2つの自動車市場が大きく揺れています。この春の決算では日産が巨額の赤字を計上し、トヨタでさえ減益見通しを発表するなど、米国・中国市場への依存度が高い自動車メーカーは影響を受けました。そうした中、米国・中国という巨大自動車市場と距離を置くような戦略をとってきたスズキは、どのような決算となったのでしょうか。
執筆:モータージャーナリスト 鈴木 健一 (鈴木ケンイチ)

モータージャーナリスト 鈴木 健一 (鈴木ケンイチ)

執筆のメインフィールドは自動車関係。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。特にインタビューを得意とする。見えにくいエンジニアリングやコンセプト、魅力などを分かりやすく説明できるよう心掛けている。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を約10年経験。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員、自動車技術会会員、環境社会検定試験(ECO検定)。

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超絶好調の2024年度の決算内容だが、2025年度には不安材料があるという…
(Photo:mimpki/Shutterstock.com)

過去最高だらけ? トヨタに迫る「ある指標」とは

 スズキは、世界最大の中国・米国市場からすでに撤退している数少ない自動車メーカーです。その代わり、スズキはインドという他社とは異なる市場を主戦場にして稼いでいきました。

 そのため、昨今の中国の景気後退は、スズキの業績には、大きな影響を与えませんでした。実際に、2025年3月期(2024年4月~2025年3月)の決算の内容は非常に良いものとなりました。決算の説明会では、“過去最高”との言葉が、何度も繰り返されたのです。これ以上ないほどの好成績と考えて良いでしょう。

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過去最高という言葉が、何度も繰り返された決算説明会。どの指標が過去最高だったのか?
(写真:2025年3月期 スズキ決算説明会)


 何が過去最高だったのかと言うと、まず「売上収益」が5兆8,252億円で過去最高。そして、「営業利益」も6,429億円で過去最高です。売上収益増は4年連続、営業利益増も5年連続で増え続けています。

 そして、1株当たりの年間の「配当」も41円で過去最高となりました。また、日本国内での「登録車販売台数」も13.3万台となり、過去最高を記録しています。

 2024年度のスズキは、コンパクトSUV「フロンクス」と「ジムニーノマド」という新型の登録車を日本に導入しました。「ジムニーノマド」は、待望の5ドア「ジムニー」ということで注文が殺到し、受注停止になるほどの人気となっています。

 そうした人気モデル投入の好影響もあったのでしょう、2024年度のスズキは、軽自動車と登録車を合わせると、国内シェアではトヨタに次ぐ2位となっています。登録車は、軽自動車よりも値段が高いことから、これも収益アップに貢献しています。

どの国が好調・不調だった? 販売台数の内訳

 さらにインドでの事業では、インド生産車の「海外輸出」が33.3万台となり、これも過去最高を記録しています。しかも今年は、インドからの輸出がさらに20%も伸びそうだというから頼もしいばかりです。加えてインドで販売する二輪(オートバイ)の販売も好調であり年間販売台数が104.8万台となりました。これはスズキとして「初の100万台突破」という記録でもあります。

 世界市場トータルでの4輪車の販売台数は、前年比プラス2.3%の324万台と微増という結果です。欧州(前年比マイナス6.4%の22万台)とインドネシア(マイナス16.9%の6.5万台)以外では、すべての市場で販売を伸ばしています。欧州でのマイナスは、「イグニス」と「ジムニー」の販売終了が理由だそうです。理由がハッキリしているから、それほどの問題ではないと言えるでしょう。

 つまり、2024年のスズキはクルマの販売が順調で、1台あたりの収益もアップして、まさに絶好調という結果を残すことができたのです。

 ところが、5月の決算発表は、好成績に浮かれる様子はなく、逆に、今期の苦戦の予測が語られました。2025年度のスズキの不安要素はどこにあるのでしょうか。

2025年度は「営業利益」が減る? 足を引っ張る要素とは

 2026年3月期、つまり2025年度は、売上収益で6兆1,000億円という、昨年よりも良い数字を出しつつも、営業利益では5,000億円になりそうだとか。今回の発表よりも、営業利益が1,500億円ほど減少してしまうというのです。

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