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- 2023/09/21 掲載
利益率はトヨタ超え、絶好調「三菱自動車」に何が起きた?手堅い改革のスゴイ効果とは
【最新】三菱自動車の業績まとめ
足元、2023年5月に発表された「2022年度決算」の内容はどうだったのでしょうか。端的に言えば、内容は素晴らしいものでした。売上高は2兆4,581億円(前年度比21%増)、営業利益は1,905億円(同118%増)、当期純利益は1,687億円(128%増)。前年度比で見ると、年間の販売台数こそ減ったものの、為替の追い風もあり、売上高、純利益ともに上昇しており、営業利益率は7.7%と、近年では見られなかった高水準の数字を記録しています。これは、トヨタ(同7.3%)、ホンダ(同5.0%)、日産(3.6%)、スズキ(7.6%)、マツダ(3.7%)、SUBARU(3.3%)などと比べると、業界トップ水準にあると言えます。
この好成績の理由は、直近の経営戦略がうまく機能しているからだと考えられます。ここ数年、三菱自動車の経営は、何に重点を置いてきたのでしょうか。
三菱自動車「絶好調の秘密」、効果抜群だった“ある改革”
コロナ禍以前、三菱自動車が掲げていた経営計画は、「Drive for Growth」(2017~2019年)、「ニューステージ2016」(2014~2016年)、「ジャンプ2013」(2011~2013年)というモノでした。名前の雰囲気からも分かるように、ここ数年の中期経営計画は、基本的に「数多くのモデルをリリースし、販売台数を伸ばそう」という拡大路線の計画でした。コロナ直前の「Drive for Growth」は「販売台数と売上高を30%以上増加」「新規モデル6車種を投入」という内容であり、実際に100万台前後で足踏みしていた年間販売台数を、2018年には124万台にまで伸長させることに成功しています。
とはいえ、ご存知のとおり、2019年の暮れより、世界はコロナ禍に巻き込まれます。当然、クルマの販売も激減してしまいました。そこで三菱自動車は、2020年7月に新たな経営計画「Small but Beautiful」を発表します。
「小さいけれど美しい」──。その内容は、以前の拡大路線とは真逆となる、いわゆるリストラ案でした。「固定費を20%減」「アセアンに経営資源を集中」などという内容です。“どうせ、コロナ禍でクルマが売れないのであれば、その間に、体質改善をしてやろう”という、そんな経営陣の声が聞こえるような計画だったのです。
そして、そのリストラが功を奏したと言えるのが、2022年の決算内容です。販売台数減でありながらも、利益はアップしています。まさに、儲かる体質に変化したというわけです。
このように体質改善を図り業績を好転させた同社ですが、問題はここからです。今後、さらに販売台数を伸ばしていけるのでしょうか。 【次ページ】三菱自動車はさらに「販売台数」を伸ばすかもしれない理由
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