• 2026/02/26 掲載

「過労死白書」が示した、建設業の悲痛……繁忙期の“3大リスク”と現場を守る4改革(2/3)

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なぜ建設業だけ変われない? 改革を阻む「三重の壁」

 建設業界において働き方改革が真の意味で浸透しない背景には、個人の努力ではどうにもならない「業界特有の構造的な問題」が横たわっています。ここでは主な3つの問題について解説します。

■重層下請構造
 1つが、いわゆる重層下請構造です。

 発注者から元請、1次下請、2次下請、さらに3次下請…へと業務が階層的に分かれていく中で、実際の作業や管理がどこまで共有されているのかが曖昧になりやすく、責任の所在が不明確になり、元請の技術者が苦労するケースも少なくありません。

 特に技術者については、企業ごとに確保・配置することが求められる一方で、慢性的な人材不足により、少数精鋭の技術者に業務が集中しがちです。1人で複数現場を兼任する、休日返上で書類対応に追われるといった状況は珍しくなく、制度を順守したくても物理的に「休めない」「回らない」現場が依然として存在します。

■週休2日制の構
 また、「週休2日制」にも構造的な問題点があります。休みが増えること自体は歓迎すべきですが、工期がそのままであれば、1日あたりの作業量は自ずと増加します。表面上は改善が進んでいるように見えても、裏では作業の圧縮・負荷の再配置が発生しており、特に技術者への集中が加速する結果となっているのが実態です。

■労基署の人員不足
 加えて、こうした制度運用を監視・是正する立場にある労働基準監督署も、深刻な人員不足に直面しています。特に建設業界は工事の時期や場所、形態が多様であるため、すべてを把握しきることは困難です。この状況が「うちは大丈夫だろう」「どうせ見に来ない」といった“なあなあ”な風潮を温存させ、現場改善のブレーキになっている側面も否めません。

 つまり、制度だけでなく、構造・現実・空気感の三重構造が、働き方改革を阻む壁として立ちはだかっているのです。

休まる暇なし……建設現場の「過酷すぎるリアル」

 構造的な問題だけにとどまりません。建設現場における技術者の役割が多岐にわたることも問題となっています。単なる「進ちょく管理」とどまらず、工事監理、安全衛生管理、近隣対応、公衆災害の防止対策、さらには膨大な書類作成など、多岐にわたる責任が一点に集中しています。

 特に深刻なのが、「代わりがいない」という問題です。現場作業員が交代制で動けても、現場全体を把握し責任を負う技術者だけは現場に張り付かなければならず、離れることができません。「責任は分散できないのに、人手は足りない」という構図が、心身ともに休まる暇を奪っています。

 加えて、近年はCCUS(建設キャリアアップシステム)のような現場の透明性を高める制度が進む一方で、それに伴う事務作業が増加しているのも事実です。現場の安全・品質を支える要(かなめ)であるからこそ、あらゆる負担が技術者1人に突き刺さる……その過酷な現実が、今改めて問われています。 【次ページ】年度末に現場が崩壊寸前…建設業を襲う“3大リスク”の正体
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