- 2026/04/21 掲載
「労働安全衛生法」改正、努力義務でもアウト?建設業の“4大盲点”、対応は大丈夫?
社会保険労務士・行政書士浜田佳孝事務所代表。Hamar合同会社代表社員。法学部出身でありながら、市役所の先輩や土木施工管理技士である父親の影響を受け、土木技術の凄さに興味を持ち、研鑽を積む。そして、市役所勤務時代には公共工事の監督員として、道路築造工事や造成工事などの設計・施工を担当した実績を持つ。
現在は、「建設業の現場を経験した」社会保険労務士・行政書士として、建設業の労務管理・建設業許可・入札関係業務を主軸に、建設業の働き方改革・安全衛生コンサルティングを始めとした「現場支援」業務を行ってる。また、商工会主催の「建設業の働き方改革セミナー」を開催し、働き方改革に関する多くの相談を建設業者などから受けている。
著書に 最新労働基準法対応版 建設業働き方改革即効対策マニュアル、図解即戦 建設業法の規制と対応がこれ1冊でしっかりわかる本がある。そのほか、中小企業の建設業の経営者に向けた YouTubeチャンネルを開設し、建設業界に関係する最新の知識やお役立ち情報などを日々発信している。
建設業では「見えない責任の拡大」が始まっている
近年、労働安全衛生法の改正が相次いでいますが、「現場としては何が変わったのか実感がない」と感じている方も多いのではないでしょうか。実際、日々の作業内容や安全活動が大きく変わるわけではなく、これまで通りの運用が続いている現場も少なくありません。そのため、今回の改正についても「一応対応は必要だが、現場への影響は限定的」と受け止められているケースが多いのが実態です。
しかし、今回の改正の本質は、作業手順の変更や新たな義務の追加といった“目に見える変化”ではありません。
建設業においてはむしろ、「誰に対して安全配慮を行うのか」「どこまで責任を持つのか」といった、事業者の責任の範囲と中身が見直されている点にあります。特にこれまで対象外とされてきた相手や、明確に責任を負っていなかった領域に対しても、安全配慮や説明が求められる場面が増えていく可能性があります。
本稿では、こうした“見えにくい変化”に焦点を当て、現場にどのような影響が及ぶのかを整理していきます。表面的には大きな変化がないように見える今回の改正も、視点を変えれば、今後の安全管理のあり方を左右する重要な転換点です。
ポイント1:安全管理の対象を「雇用」から「場所」へ広げる
今回の改正の中で現場に最も大きく影響するのは、「直接雇っていない相手だから自社の責任ではない」という考え方が通用しにくくなる点です。■【制度の変更点】作業従事者全員が「安全管理」の対象に
これまでは、混在作業場所における元方事業者が講ずべき指導や連絡調整といった安全措置の対象は、主として「労働者」対象でした。そのため、一人親方などの個人事業者については「雇用関係がない以上、自己責任」と捉えられ、安全指示や情報共有のレベルに差が生じているケースも見受けられました。
しかし、2026年4月1日以降は、その対象が個人事業者等を含む作業従事者全体へと拡大されることになります。
実態として、現場は1つの作業環境であり、雇用形態にかかわらず互いの作業が影響し合う関係にあります。このような中で発生する災害について、「雇用関係の有無」で安全管理の対象を分けることには限界があります。
今回の改正は、こうした背景を踏まえ、「誰が雇用しているか」ではなく、「同じ現場で作業に従事しているか」という実態に基づいて安全管理の対象を捉える方向へと転換するものです。これにより、元方事業者には、自社や関係先の労働者だけでなく、個人事業者等を含めたすべての作業従事者に対して、必要な指導や連絡調整を行うことが求められるようになります。 【次ページ】ポイント2:設備貸与のルール厳格化と「自己責任」の終焉
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