• 2026/02/26 掲載

「過労死白書」が示した、建設業の悲痛……繁忙期の“3大リスク”と現場を守る4改革(3/3)

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【年度末に現場崩壊も……】建設業を襲う“3大リスク”

 特に1~3月の年度末は、働き方改革の理想と実態のギャップが最も表面化する時期です。公共工事を中心に3月末の工期完了が集中するため、現場には以下の「3つの過重リスク」が一気にのしかかります。

■書類業務の激増と「2重負荷」
完成図書の作成や写真整理など、提出書類の締め切りが重なります。日中は現場管理、夜間は書類作成という「2重負荷」にさらされるケースも珍しくありません。

■精神的プレッシャーによるメンタル不調
施工体制の維持からトラブル防止まで、「絶対にミスが許されない」という極限の緊張感が数カ月間継続します。多岐にわたる役割を1人で背負い込むことで、精神的な限界を迎える技術者も少なくありません。

■労働基準監督署による是正と「隠れ残業」のリスク
労働時間が長くなる時期ゆえに、外部からの監視の目も厳しくなります。その結果、帳簿上の労働時間を過少申告(サービス残業)して帳尻を合わせる技術者が後を絶ちません。こうした「不適切な申告をせざるを得ない状況」自体が、さらなる心理的ストレスを生んでいます。

 このように、年度末は業務量・精神的プレッシャー・外部からの監視といったリスクが同時にのしかかる時期です。ここをどう乗り越えるかが、現場力と経営判断の真価を問われる場面とも言えるでしょう。

手遅れになる前に…今日から取り組むべき「4つの変革」

 過労死リスクや過重労働の構造は、制度だけで一気に解決できるものではありません。しかし、現場の特性を理解し、実情に即した改善策を1つずつ積み重ねることで、確実に未来を変えていくことはできます。ここでは、2026年度に向けて建設業者が意識すべき「4つの変革」を整理します。

(1)過剰受注を抑える「経営判断の強化」
 最も根本的な課題は、「人が足りないのに、仕事が多すぎる」という現実です。経営層としては、業績を伸ばしたい思いもありますが、自社の技術者数や管理能力を冷静に見極め、キャパシティを超えた受注を抑える判断が不可欠です。

 特に年度末は、受注のピークと人材の限界がぶつかりやすいため、なおさら慎重な判断が求められます。加えて、適正な企業経営が行えるように“受注の質”そのものを高める必要があるでしょう。

(2)有事に備える「協力会社ネットワークの整備」
 繁忙期やトラブル時、自社だけでは対応が難しいケースは少なくありません。日頃から信頼できる協力会社との関係性を築き、柔軟にリソースを調整できる体制を持つことで、突発的な業務集中にも備えることができます。これは、技術者1人ひとりの負荷軽減にも直結します。

(3)技術者の負荷を分散する「後進育成と業務棚卸し」
 中堅・若手技術者の育成を後回しにせず、OJTや資格取得支援、定期的な業務分担の見直しを通じて、属人化を防ぐ仕組みを整えることが重要です。すべてを一部のベテランに任せるのではなく、役割と責任を分散させるチーム体制づくりが、持続可能な働き方への第1歩となります。

(4)ICT・DXの段階的導入による業務効率化
 最近では、ICT施工や建設DXのソリューションも現実的な選択肢となってきました。最初から大規模導入を目指すのではなく、書類作成の自動化など、取り入れやすいところから着手することで、技術者の負担軽減と業務の見える化が進みます。

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経営判断、ネットワーク、育成、DXの4視点で整理した「4変革」。個人の頑張りに依存せず、組織全体で負荷を分散する体制づくりが急務とされる
(画像:本文をもとにAI(Gemini/Nano Banana)を使用して生成)

 制度だけでは現場は変わりません。だからこそ、現場に即した小さな改善を積み重ねることが、過労死を防ぎ、働きやすい建設業をつくる第1歩です。2026年度を前に、今一度「現場から変える」意識を持つことが求められています。

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