• 2026/06/22 掲載

【神ワザ5選】スマホ×画像AIが「最強の同僚」に…現場の「ベテラン依存」が終わる日(2/2)

連載:製造業に役立つ生成AI活用術

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【設備点検】若手でも点検・記録、属人化「一気に解消」

 「点検しておいて」と若手に頼んでも、何を見ればいいかわからずに「異常なし」とだけ書いて戻ってくる。ベテランが自分でやらないと安心できないから、結局、点検作業はベテラン頼みのままになっている…こんな状況はないでしょうか?

 この事例では、設備の写真を撮ってAIに送るだけで、ボルトのさび・ケーブルの被覆のひび割れ・オイル漏れの痕跡など、目視で見落としやすい劣化サインを、箇条書きでリストアップしてくれます。さらに「要対応/注意/問題なし」のレベル分けまで提示してくれるので、点検記録の下書きとして使えます。

 若手がAIと一緒に設備の点検をして、ベテランにフィードバックをもらう、というフローにするだけで、点検の属人化が一歩ずつ解消されます。たとえば以下の通りです。

■AIに添付する写真
画像
点検対象となる設備の写真(この写真は記事用にGPT images 2.0で作成)
(筆者提供)

■プロンプト
# 役割
あなたは製造設備の保全エンジニアです(機械保全技能士1級相当)。
目視点検での「劣化の予兆」を早期に発見することを得意としています。

# 作業内容
添付した写真は以下の設備です:

【設備名】○○設備 ※実際の設備名に書き換えてください
【稼働年数】○年 ※わかる場合のみ記入
【最近気になる症状】特になし / ○○ ※異音・振動・漏れなどあれば記入

この設備の目視点検を支援してください。

## 1. 目視確認チェックリスト(写真から確認できる範囲)
| 点検箇所 | 観察された状態 | 所見・コメント | 要対応(要/注意/問題なし)|
|----------|--------------|----------------|--------------------------|

## 2. 特に気になる箇所(詳細)
- **箇所**:
- **観察された状態**:
- **考えられる原因**:
- **推奨する次のアクション**:

## 3. 写真だけでは判断できないが現地確認を推奨する箇所
-

# 出力ルール
・出力は日本語で
・写真から確認できないことは推測で補わず「[要現地確認]」と記載する
・この出力は「点検の補助資料」です。設備担当者・ベテランによる現地確認を必ず行うこと
・見落としが生じる可能性があることを最後に一言添えること
■出力結果
画像
写真で確認できる気になる個所をリストアップしつつ、特に気になる個所をピックアップして詳細な状態や原因、取るべきアクションを提示。さらには、写真だけでは判断できない個所についてどこを確認すれば良いか提案してくれる(出力結果の画像は計3点あります)
(筆者提供)


【作業手順書の作成】ベテランのコツ伝授も「たった1分」で

 手順書を作成するには、作業の様子を写真におさめて、PCで作業手順を言語化していく必要があります。とても大切な作業ですが、手順書が数百枚に及ぶ場合も…。

 この事例では、作業を工程順にスマホで5~10枚撮影してAIに送るだけで、工程名・詳細手順・注意事項が整理された手順書の下書きが約1分で完成します。熟練者がやることは、下書きに赤ペンを入れるだけ。「ゼロから書く」という最大のハードルを、AIによって下げてくれます。手順は次の通りです。

■AIに添付する写真
画像
一連の作業の写真を5枚使う(この写真は記事用にGPT images 2.0で作成)
(筆者提供)

■プロンプト
# 役割
あなたは製造業の標準作業手順書(SOP)作成の専門家です。
機械保全・組立作業の現場経験をもとに、新人でも1人で作業できる精度の高い手順書を作ることを得意としています。

# 作業情報
【作業名】○○作業 ※実際の作業名に書き換えてください
【対象者】この作業が初めての新人作業者
【作業場所】○○ライン / ○○設備 ※わかる場合のみ

# 添付写真について
写真は工程順に撮影しています。
写真1枚 = 作業の1工程として、それぞれを独立した工程として手順書に記載してください。
写真番号と工程番号を必ず対応させてください(例:写真1 → 工程1)。

---

以下の形式で手順書の下書きを出力してください。

# 標準作業手順書(下書き)

**作業名**:○○作業
**想定作業時間**:[写真全体から推定]
**必要な工具・材料**:[写真に写っているものをすべて列挙。工具はサイズ・規格も記載]
**必要な安全装備**:[写真から確認できる保護具を記載]

---

## 工程詳細(写真ごとに記載)

### 工程1(写真1):[写真から読み取った作業名]

**詳細手順**(新人が迷わないよう、動作を1ステップずつ分解して記述)
1. [部品名・工具名を明記した具体的な動作]
2. [取り付け向き・位置関係・角度など空間情報を含めた動作]
3. [ネジ・ボルトがある場合は:ネジの種類・サイズ・締め順・締め付けトルクを記載]

**使用部品・工具**
| 品名 | 規格・サイズ | 数量 | 備考 |
|------|------------|------|------|
| | | | |

**ポイント・注意事項**
- [品質・安全に関わる注意点]
- [よくあるミスとその回避方法]

**完了確認**:□ [完了を判断する基準(見た目・音・トルク感など)]
---

### 工程2(写真2):[写真から読み取った作業名]
(工程1と同じ形式で記載)

---
※ 写真の枚数だけ工程を繰り返してください

---

## よくあるミスと対処法
| ミス | 発生しやすい工程 | 原因 | 対処法 |
|------|----------------|------|--------|
| | | | |

# 出力ルール
・出力は日本語で
・部品名・工具名は写真から読み取れる範囲で具体的に記載する(「部品」「ボルト」ではなく「M6六角ボルト」「樹脂製カバー」など)
・ネジ・ボルト類は必ず「種類・サイズ・締め順・締め付けトルク」を記載する(不明な場合は「[要確認]」)
・取り付け時の向き・位置関係・角度などの空間情報を必ず含める
・「部品を置く」ではなく「○○の刻印が上を向くよう、治具の右端の溝に合わせて置く」のように動作を具体的に書く
・写真から読み取れない情報は「[要確認:○○が見えないため現場で補足が必要]」と記載する
・推測で補った箇所には「※要確認」を付ける
■出力結果
画像
工程ごとの手順や使用する部品・工具など詳細な手順書の下書きを出力してくれる(出力結果の画像は計5点あります)
(筆者提供)




GPT Images 2.0・Nano Banana、「3つの変化」が凄い

 以前の画像生成AIは「なんとなくそれっぽい画像」しか作れませんでした。製造業の現場で使うには、精度が低すぎた…そう感じていた方も多いはずです。GPT Images 2.0 / Nano Bananaでは、以下の3点が実用レベルに上がっています。

  1. (1)日本語テキストが画像の中に正確に入る
    「転倒注意」「ヘルメット着用」などの文字を画像内に含めた状態で生成できます。以前は文字が崩れて使い物にならなかった部分です。

  2. (2)「NG/OK比較」「左右対称」など複雑な構図を指示通りに作れる
    「左にNG例、右にOK例、中央に区切り線」のような細かいレイアウト指示に応じた画像が生成できます。安全ポスターや手順書の図解に直結する機能です。

  3. (3)作業員・ヘルメット・工場環境などを自然なイラストで描ける
    製造現場に合ったビジュアルが、テキスト指示だけで生成できます。外注費・制作時間ゼロで、担当者が直接作れます。

まとめ:手元にある「スマホ×AI」で仕事は“ぐっと楽”に

 今まで「撮っただけ」で終わっていたホワイトボードの写真が、30秒で議事録になる。「毎回同じメンバーが同じことしか指摘しない」KY活動が、第3者の視点を持つ議論の場に変わる。「デザイナーに頼まないと作れなかった」安全ポスターが、現場担当者の手で当日完成する。

 これらはすべて、スマホとAIという、すでに手元にある道具だけで実現できます。

 大切なのは、AIを「人の代わりに判断させるもの」ではなく、「人と一緒に考えるパートナー」として使うことです。AIが整理した素材を基に、現場のメンバーが議論して、ベテランが確認して、担当者が仕上げる。このプロセスは変わりません。AIはその最初の一手を、ぐっと楽にしてくれるだけです。

 手作業で数時間かかっていたことが、写真1枚で動き始めます。まず今日の会議で1枚試してみてください。
筆者の髙橋和馬氏がビジネス+ITの有料リスキリング講座に登壇します。詳細は以下よりご覧ください
■製造業に特化した生成AI活用の実践講座:7月3日開催
 詳細はこちら:https://www.sbbit.jp/st/eventinfo/88849

本稿で紹介した事例5選のプロンプト集は以下よりダウンロードできます
https://www.sbbit.jp/st/document/24186

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