- 2026/08/02 07:10 掲載
物知りなだけで満足する人は、AI時代に評価されない…“知的メタボ”解消法
早稲田大学理工学部卒業後、プロセス改善コンサルティングファームを経て2009年に創業。100を超えるスマホアプリ開発などを行う中でデザイン産業の課題に直面し、いち早くAI技術の研究開発をスタート。2019年にAIを活用したクリエイティブ制作・改善サービス「AIR Design」をリリース。同サービスはのべ1000社・3000名以上に導入され、企業の業務フローと、個人の思考や働き方に根本的な変革をもたらしている。「ICCサミット KYOTO 2022 カタパルト X」優勝など起業・スタートアップ関連の賞を多数受賞。テレビやウェブメディアでも広く取り上げられ、1万人超への講演実績も持つ。現在は累計約24億円の資金調達を実施し、AI技術の社会実装を牽引している。
中編はこちら(※この記事は後編です)
料理にハマって気づいた「AIで化ける人」の思考法
個人的な趣味の話になるのですが、ここ数年、私は料理をすることにハマっています。料理は非常にクリエイティブな行いだと思いますし、始めるのも比較的簡単です。調理器具と材料を集めれば、後はレシピサイトやYouTubeを参考に料理の仕方はいくらでも見つけることができます。これまで食べること一辺倒だったのですが、最近ではすっかりその魅力にハマり、家族や友人に手料理を振る舞っています。
レシピなどを参考にしながらインプットしたものを、現実の料理としてアウトプットして生産する。自分でも試食をしつつも、それを家族などに振る舞いながらフィードバックしてさらに腕を磨いていく。
ここにもAI時代の思考法のヒントが隠されていると思います。
AI時代に危ないのは、“物知り”で満足する人
以前の「食べる専門」だった私と、料理を作るようになった今の私。一番の大きな違いは、「価値を生んでいるのはどちらか?」という点です。レストランで美味しい食事を楽しむのは素晴らしい体験ですが、厳しい言い方をすれば、それはあくまで誰かが作ったものを「消費」しているに過ぎません。
対して、料理を作ることは、食材というインプットを加工し、誰かに喜びを提供する「生産」のプロセスです。
これを、私たちの仕事や学びのスタイルに置き換えてみましょう。
現代は、美味しい情報であふれかえっています。スマホを開けば、ビジネスの成功法則、最新技術のトレンド、有識者の深い洞察が無限にしかも安価に手に入ります。
多くの人は、この情報の洪水を前にして、必死に「食べる(消費する)」ことに時間を費やしています。「今日はいい話を聞いた」「勉強になった」とお腹いっぱいになり、賢くなった気になって満足してしまう。
しかし、情報をどれだけ大量に摂取しても、それを自分なりに料理して世に出さない限り、あなたは「カロリー(情報)を摂取しただけで、エネルギー(価値)として燃焼していない状態」です。これは、現代人特有の病として「知的メタボ」と呼べるのではないでしょうか。
特にAI時代において、この「食べるだけの人」の価値は暴落します。なぜなら、世界で最も物知りで、人類が積み上げたあらゆる「レシピ(知識)」を記憶しているのは、もはや人間ではなくAIだからです。「物知り」であることの価値は、AIによってコモディティ化されました。
これからの時代に評価されるのは、レシピ通りの料理を食べて満足する人(消費思考)ではありません。AIという「無限の食材庫」と「有能なスーシェフ」を使いこなし、目の前の人を喜ばせる「一皿」を実際に作って振る舞える人です。
情報を消費する側から、価値を生産する側へ。この考えが「消費思考から生産思考へ」です。
なぜ今、この転換が必要なのか。そしてAI時代における「知的生産(料理)」とはどうあるべきなのか。詳しく見ていきましょう。 【次ページ】「百の議論より、一つの試作」──停滞した会議が動き出した瞬間
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