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  • 2025/12/03 掲載

「4万円のトースター」で大成功も…その先でバルミューダを苦しめた“ブランドの罠”

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「BALMUDA The Toaster」のヒットを覚えているだろうか。バルミューダ社が2015年に発売したトースターである。上部に給水口があり、スチーム機能を備える。蒸気の効果で普通のパンでも「外はサクサク、中はふんわり焼ける」として人気を博した。他社製品の4~5倍以上の価格にも関わらず、売れ行きは好調で、バルミューダの知名度を向上させた。だが、同社はトースターにヒット以降、ジリ貧の状況が続いている。スマホ事業に参入したが失敗し、近年の商品開発も過去作の焼き直しにすぎない。決算書を見ると、同社が新商品開発に苦戦する理由が見えてくる。
執筆:山口 伸

山口 伸

経済、不動産分野のライター。小売・飲食を中心とした企業分析記事や、都市開発、不動産市況に関する記事を手がける。理系の会社員だったが、ライター業に専念するため独立した。趣味で簿記・ファイナンシャルプランナーの資格を取得する。

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一世を風靡したバルミューダ社のトースター。現在はどんな状況?
(Photo:yu_photo/Shutterstock.com)

年間平均25万台のヒット作に

 バルミューダは2003年にPC周辺機器のメーカーとして創業した。最初の商品はパソコンの冷却台「X-Base」である。その後はデスクライトなどを発売し、2010年には二重構造の羽根で自然な風を再現する扇風機「GreenFan」を発売した。韓国や中国にも展開していく。

 2015年には「BALMUDA The Toaster」の発売でキッチン家電に参入した。スチーム機能を備える同トースターは当時、税抜2万2,900円と相場よりかなり高い値段で発売されたが、普通のパンを美味しく焼けるトースターとして話題を呼んだ。販売台数は1年で10万台、5年で100万台を突破した。2023年末には200万台を突破したという報道があった。

 年間平均で25万台が売れたわけだ。日本国内で販売されるトースターは年間250万台前後であり、10個に1個がバルミューダ製ということになる。現在でも全国の家電量販店でバルミューダ製のトースターを見かけることが多い。性能もさることながら、高価格であることがブランド力につながり、売れたと考えられる。

 売れた要因としては、コロナ禍での家電需要の増加が影響した上に、文字無し・ロゴ無しのシンプルなデザインが支持された。「バルミューダ=高級家電メーカー」という認識が広がり、その後発売された1万1,000円の電気ケトルや同4万3,500円のオーブンレンジも話題を呼んだ。

 そんなバルミューダ社が近年苦戦している理由を詳しく見ていこう。 【次ページ】違和感はいつから…?ブランド力を落とすキッカケとなった“ある商品”
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