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  • 2023/08/02 掲載

【単独】ダイソンはEV再参入を目指すのか? CTOに聞く「情熱注ぐ投資領域と人材戦略」

Seizo Trend創刊記念インタビュー

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日本の製造業において、残念ながらエンジニアは決して目立つ存在ではないだろう。一方、世界で成長を続けてきたダイソンは、創設者兼企業トップのジェームズ・ダイソン氏をはじめとするエンジニアが会社の中核を担ってきた。しかし最近では研究開発や製品展開が変化し、エンジニアに求められる能力やスキルなども変わってきているという。同社CTOのジョン・チャーチル氏に、ダイソンの人材戦略や教育姿勢を聞くとともに、今後の製品展開についても聞いた。

執筆・聞き手:MBAエンジニア/Tech系YouTuber 倉嶌 洋輔、写真:大参 久人

執筆・聞き手:MBAエンジニア/Tech系YouTuber 倉嶌 洋輔、写真:大参 久人

AI時代のキャリア生存戦略』著者。1985年生まれ。大学卒業後、ワークスアプリケーションズに入社し、エンジニアとしてキャリアをスタート。その後、転職し、スマホアプリのエンジニアやSEとなり、Tech領域の知見を広げる。MBA通学を機にビジネス系の知見を広げ、2017年に「テクノロジー×ビジネス」のマルチスキルを活かし、コンサルタントとして独立。法人向けに、グルメレビューサービス企業や東大系AIベンチャー、ゼネコン企業等をクライアントにしたコンサルタントとしての活動をしながら、一般向けにはYouTubeやUdemyを通して「ビジネスで使えるTech系リテラシー」を育てるための情報発信を行っている。

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ダイソン CTO ジョン・チャーチル氏
2001年、英ブルネル大学を卒業し、工学デザインの学士号を取得。同年にデザインエンジニアとしてダイソンに入社。フロアケア、空調家電、ハンドドライヤー、ロボット掃除機など、さまざまな技術やカテゴリーにまたがる50以上のテクノロジーおよび製品開発に従事してきた。2012年には東南アジアに拠点を移し、デザインディレクターに就任。またフロアケアおよびロボティクス担当のバイスプレジデントとして、コードレスおよびロボットによる新しい掃除機マシンの革新と開発を推進してきた。現在はCTOとして、ダイソンのグローバルなエンジニアリング活動をリードして問題解決に取り組み、新世代のダイソンテクノロジーを開拓する責任を担う。

エンジニアに求める「能力とスキル」

 ダイソンに所属するエンジニアの強みは、問題発見能力の高さだと考えています。そうした特徴のある人たちを採用するようにもしているのですが、問題解決だけでなく、問題を理解することも大切にしています。

 またエンジニアは、ハードウェアやソフトウェア・システム統合・機械のデザインなど、すべてのものを理解するために、幅広い経験を積んでおいたほうがいいと私は思います。そうした経験を繰り返すことによって、「どの部分で専門性を持ちたいのか」、あるいは「どの部分に自分は才能があるのか」ということに気づくことができるのです。

 社内での動きとしては、エンジニア同士の交流を積極的に推進しています。コラボレーションやコミュニケーションを促進することで、新製品開発の時に良い効果がもたらされることもありますし、スピーディーにものごとを進めることもできたりします。

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 時には、無理やり多領域のエンジニアを集めて話をさせることもあります(笑)。エンジニアが問題解決で壁に当たっている時、こういった交流を通して色々な方法の解決案を考えることができるようになります。だからこそ、クリエイティブなソリューションが生まれたりするのです。羊のように後をついていくというのは避けたいので、自由な創造性を持ってほしいと考えています。

ハードウェアだけでない、「ソフトとハードのダイソン」へ

 ジェームズも公言しておりますが、ダイソンは今後ソフトウェアにも注力していく方針です。このため現在、ソフトウェア系の人材育成にも力を入れており、これからソフトウェアのチームを大きくしていきたいなと考えています。

 これまで掃除機や空調機などハードウェアの世界で製品を展開してきました。並行して、未来を担うエンジニアを育成するため、ジェームズ ダイソン財団での活動を展開、また、「ダイソン インスティチュート オブ エンジニアリング アンド テクノロジー」という大学の運営にも取り組んでいます。この大学での学習内容も、ハードウェアが中心でしたし、20年前であればエンジニアの育成は機械デザインに集中していました。

 ですが、現在の製品は、ハードウェアもソフトウェアもシステムデザインも必要になります。ダイソンの製品はハードウェアだけでなく、ソフトウェアも重要性が高まってきましたので、教育のあり方も変わりつつあると認識しています。

 現在は、クラウドやアプリなど、全てのソフトウェアに対応できる人材育成に力を入れています。また私のCTOとしての大事な仕事の1つですが、より多くのソフトウェアをダイソンに持ち込むことも進めています。

 将来的には、さまざまなソフトウェアをさまざまな製品に活用することで、より多くの人たちに興味を持っていただき、「ダイソンはハードウェアだけの会社ではなく、ソフトウェアの会社でもある」と解釈してくれればと期待しています。 【次ページ】「EV再参入」の可能性は? いま“情熱を注ぐ”領域とは

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