- 2025/10/29 掲載
男性中心だった「1,000円カット」に異変…多様化勝負のQB vs 若者並ぶ「690円カット」
新連載:ヒットの現在地
1981年生まれ。フリーランスライター・PRとして、「ビジネストレンド」「国内外のイノベーション」「海外文化」を追う。一般社団法人 日本デジタルライターズ協会会員。エンタメ業界で約10年の勤務後、自由なライフスタイルに憧れ、2016年にOLからフリーライターへ転身。その後、東南アジアへの短期移住や約2年間の北欧移住(デンマーク・フィンランド)を経験。現地でもイノベーション、文化、教育を取材・執筆する。2022年3月~は東京拠点。関連サイトはこちら。
“1,000円カット”の「QBハウス」も物価高には逆らえず……
1,000円カットの草分け「QBハウス」は、1996年に「QB HOUSE 神田美土代店」を開業。「10分1,000円のヘアカットのみ」「予約を取らない」「雑誌を置かない」「シャンプーをしない」など、当時では画期的なビジネスモデルを一から作り上げ、業界に新風を起こした。あらゆるムダをそぎ落としたことで、従来の理美容店の約3分の1までコストを抑え、破格のサービスを実現したという。QBハウスを運営するキュービーネットホールディングスの2025年6月期 決算説明会資料によれば、店舗数は国内外で724店舗に拡大。人財やDXなどへの投資を理由に値上げを重ね、2025年2月1日の価格改定では1,400円に上昇した。代わりに、前回から1カ月以内の利用で100円引きとなる「ツキイチ」の対象を従来の65歳以上から「全年齢」に広げ、客離れを防ぎたい考えだ。
安い・早いだけじゃない、多様化する「QBハウス」
近年は、業態の多様化も進める。2011年には、新業態のヘアカット&スタイリング専門店「FaSS(ファス)」を開業。「カットとスタイリング」を20分、2,600円(店舗によって変動あり)で提供し、予約も可能だ。QBハウスと比較して内装にもこだわりが見える。
忙しいビジネスパーソンやニューファミリー層の“タイパ美容”ニーズに応える店として、じわじわと増加。報道によれば半分以上が女性客だといい、QBハウスとは客層が異なりそうだ。9月12日に本格開業した商業施設「NEWoMan TAKANAWA(ニュウマン高輪)」内にも開業し、全12店舗を展開する。
さらに、2020年3月には、QBハウスの品質を高めた新業態「QB PREMIUM(QBプレミアム)」が東京・大手町に誕生。先んじて香港やシンガポールで展開していた業態で、海外で得たノウハウが生かされている。
店内は広めの設計で、内装が洗練されている。大手町メトロピア店は一般的なQBハウスの約2倍となる20坪強の面積で、セット面6面と待合スペースを構える。一見すると美容室というよりカフェやコワーキングスペースのようだ。
サービス面の違いでは、「予約可能」「経験豊富なスペシャリストが担当」「スタイリング付き」「Wi-Fiやコンセントの提供」などが挙げられ、価格は2,000円。1号店の開業当初は1,650円で提供していたが、この5年で350円の値上げとなった。東京を中心に8店舗を展開する。 【次ページ】「QBプレミアム」に潜入取材、初体験の記者が訪れてみたら……
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