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  • 2023/03/03 掲載

金融機関向け「DX基盤構築」へのデータガバナンス、 態勢整備「4つのポイント」

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企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める上での成功の鍵とは何か? 筆者はDXの基盤であるデータやテクノロジーの「確かさ」や「利用のしやすさ」であると考える。特にデータの確かさや利用のしやすさを担保するためのデータガバナンスの必要性が高まっている。規制産業である金融機関はデータガバナンスに対する意識は相対的に高く、ガバナンス態勢の整備を進めていることが多いが、「DX基盤」という点ではまだまだ道半ばでもある。そこで、金融機関におけるデータガバナンスの取り組みの現状や、態勢を整備する上でのポイント、今後について解説する。

執筆:EYストラテジー・アンド・コンサルティング ディレクター 門脇 直人

執筆:EYストラテジー・アンド・コンサルティング ディレクター 門脇 直人

ITリスク・ガバナンスの領域において15年以上のコンサルティングや監査の経験を有する。現在は金融機関向けのITリスク・ガバナンスユニットにおいて、データガバナンス、IT・デジタルガバナンス、ブロックチェーンリスク、サードパーティーリスクの領域における案件や新規サービス企画にリーダーとして関与。システム監査技術者、公認情報システム監査人(CISA)。

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金融機関のデータガバナンスの方針は? 態勢整備「4つのポイント」

金融機関におけるデータガバナンスの現状

 EY Japanは、日本企業のデータガバナンスの整備・運用状況の成熟度を明らかにするために「データガバナンスサーベイ2021」を実施し、日本企業が今後取り組むべきデータガバナンスの方向性についての見解を2022年3月に発表している。

 このサーベイは国内企業506社を対象に実施しているが、その結果から業界別の特性が見て取れる。予想されるとおりではあるが、金融業界は他の業界に対して比較的高い成熟度となっている。

 データガバナンスとして対応すべき領域はフレームワークのDMBOK(Data Management Body of Knowledge)などで示されているようにさまざまあるが、特に「データセキュリティ」「データストレージとオペレーション(データの保管やバックアップ)」といった守りの領域は他の業界に比べて突出している。

 一方で、「メタデータ管理」「データ統合と相互運用性」「データアーキテクチャ」などといった効果的なデータ利活用につながる領域や、経営陣の監督を対象とした「データガバナンス」の領域は、他の業界と同様に道半ばの状況である。

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図1:EY Japan データガバナンスサーベイ2021の結果のうち、金融機関の回答
(出典:EYストラテジー・アンド・コンサルティング)

 金融業界の中でも、特に大手や異業種から参入した事業者はデータ利活用を経営上の重要戦略と位置付け、それを支えるためのデータガバナンスとして経営陣の監督機能や、実務面のマネジメント機能を実現するための体制・ルールの整備を進めている。

 ただし、マネジメントや、ルールを施す対象を限定し、スモールスタートしているのが実情である。たとえば、部署を跨(また)ぎ利用するデータレイクやBIツールなどのデータ分析環境、規制関連の業務領域のみをデータガバナンスの対象としている。

 以下では「DX基盤」を目指すためのデータガバナンスの態勢整備におけるポイントをみていく。

態勢整備のポイント(1) 全社共通ルールと個別ルール

 ルール整備面の留意点としては、組織が大きく、業務内容が複雑・細分化されるほど、データマネジメントの部分で全社共通ルールだけでは対応できず、組織/業務に応じた個別ルールの整備が追加で必要となる。

 リスクやアンチマネーロンダリング(AML)、財務などの領域については規制を遵守するための水準、対顧客サービスの領域についてはサービスレベルを実現できる水準が求められるため、個別の要件を整理した上で、要件を充足する水準のルールを設計する必要がある。

 特に、規制対応に必要となる個別ルールの整備においては、データフローの整備や、データ品質の確保のための統制設計、データに対するアクセス管理の統制設計など、厳格なルール設計が必要となる。

態勢整備のポイント(2)データ統括と現場の対話

 データマネジメントの全社共通ルールはデータマネジメントを統括する部署が整備し、組織内に展開することが一般的である。

 この場合、データマネジメント統括部署はデータマネジメントの実務を担う部署との間で、現状のデータマネジメントの実施状況や課題について情報を吸い上げるとともに、ルールを整備した場合の実現可能性(フィージビリティ)について十分に議論することが大切である。

 また、データマネジメント統括部署は、データ利活用現場の意見も吸い上げることも大切である。会社が保有するデータの探しづらさ、不足するデータ、利活用ツールの利便性などの課題を把握することが可能となり、課題の改善につながるルール設計とすることで、利活用の拡大に寄与することができる。

態勢整備のポイント(3)現場部署間の協力体制

 データマネジメントの全社共通ルールを受け、組織/業務に応じた個別ルールは各部門が整備し、運用することが一般的である。

 こうした個別ルールを整備・運用する場合、1部署単独では対応できないことがよくある。最終的に利活用するデータは、上流の部署やシステムで入力され、中間のシステムを変遷した上で生成されることから、下流に位置付くデータ利活用部署では上流の部署やシステムを巻き込む必要がある。

 こうした場合、上流部署にとっては、データ利活用の恩恵を直接受けるわけではないことから、データマネジメントのルール整備・運用への協力について動機付けを行い、協力体制を構築する必要がある。

 上流部署の協力は下流部署からの要請だけでは難しい場合があるため、データマネジメント統括部署が最高デジタル責任者(CDO)などの経営層のサポートを得ながらリードして制度設計しなければならない。

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図2:データマネジメントに対する部署間連携
(出典:EYストラテジー・アンド・コンサルティング)
【次ページ】態勢整備におけるポイント(4)データマネジメントの省力化・自動化

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