- 2026/01/21 掲載
銀行はどう変わる? “7つの変化”と制度から読み解く次の1年
NTTデータに新卒で入社、金融機関向けのシステム開発に従事した後、メガバンクのITグランドデザイン策定プロジェクトに参画を機にコンサルタントとしてのキャリアをスタート。金融機関のIT戦略、テクノロジー戦略、テクノロジー起点の事業創造などを主なテーマとしてとりあつかう。情報発信も積極的に実施しており、「Web3と自律分散型社会が描く銀行の未来」(金融財政事情研究会)などの著書や雑誌への寄稿も多数。
2025年の動向と検証
まずは2025年の振り返りをしたい。昨年挙げたキーワードは以下の7つであり、それぞれについて以下でコメントするが、比較的大きな方向感としては良い予想であったと思われる。(1)サプライチェーンファイナンス
金利が上昇し、事業会社のサプライチェーンの強靭化の流れにのり、ある程度は進んだ認識である。半導体のサプライチェーンに関する報道(注1)なども出ており、金利の上昇期待があるなかではこれからもこういった動きは進んでいくだろう。
(2)企業価値担保権
2026年施行ということもあり、2025年に具体的な大きな動きはなかったが、金融関連のメディアでは特集が組まれ、また筆者もイベントでこのテーマで講演するなど、施行以降を見据えて金融機関の興味は高い領域という認識である。具体的な取り組みは本法の施行以降だと考えるが2026年要注目のテーマである。
(3)量子コンピュータと耐量子計算機暗号
耐量子計算機暗号については取り組みが一気に加速した印象である。耐量子計算機暗号対応としてまず必要となるクリプトインベントリ(暗号の利用箇所を整理し可視化したもの)作成に着手する銀行が増えており、筆者が在籍するNTTデータも個別の銀行に支援しているのが現状である。これから耐量子計算機暗号対応の製品やサービスが世に出そろってくることから作成したクリプトインベントリを前提に暗号更改のロードマップ策定が進んでいくだろう。
(4)AIの進化
生成AIの新しいバージョンは次々とリリースされ、また性能も格段によくなった。2025年末時点では、2025年初で感じていた筆者の想像をはるかに超えた性能となっており、ビジネス活用におけるリアリティが高まった1年といってもよいだろう。これからはこの生成AIを金融の実業務にどう使っていくのか、というのがポイントになる。
(5)BaaS
BaaSについてはさまざまな取り組みがおこなわれており、直近でも吉本興業、メリカリ、関西電力などさまざま業種から利用の発表がなされている。事業会社からみると顧客とのタッチポイントの拡大につながり、BaaSを提供する銀行からすれば金利上昇下での預金獲得につながることからこの動きは続いていくと考えられる。
(6)セキュリティトークンとステーブルコイン
特典付きデジタル社債を含むいわゆるセキュリティトークンについては、クレディセゾンやパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、トヨタフィナンシャルサービス、JR西日本など新しい取り組みが次々と公表されている。
BaaSと同様に事業会社支店ではタッチポイントの拡大の要素もあり、引き続きの取り組みが期待される。ステーブルコインについては、なんといってもJPYCの取り組みがひと際目立ったが、それ以外にも3メガバンクとProgmatの取り組み(注2)などもあり、また隣接領域としてのデポジットトークンについてもゆうちょ銀行が検討を開始(注3)するなど活発な動きがみられた。
(7)銀行の新規領域進出への可能性
2025年の寄稿では、VC(Verifiable Credentials)の可能性について言及したものの、期待したほどの動きはみられなかった。一方でVCに限らない新規領域への進出としては、たとえばソニー銀行がWeb3関連の子会社を設立(注4)するなど、地銀も含めて新規事業領域への進出の動きは続いており、今後ともこの動きは継続していくものと思われる。
2026年に向けた“7つの変化”
さて、2025年の振り返りも踏まえて改めて2026年の予想をしてみよう。キーワードとしてはそれほど大きな変化があるわけではないが、次の7つと考えている。「銀行業務特化型AIエージェント」「デジタル社債・BaaSの進展」「ステーブルコイン・デポジットトークン」「企業価値担保権の事例の発生」「耐量子計算機暗号対応含むセキュリティ対応の高度化」「デジタルによる金融サービスの横断化の加速」「リスク管理のモードチェンジ」それぞれについてコメントしていこう。 【次ページ】「AIエージェント」「BaaS」「ステーブルコイン」
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