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  • 2023/03/18 掲載

「中央銀行の限界」を認めるべき?植田次期総裁に期待したい「開き直り」の姿勢

【連載】エコノミスト藤代宏一の「金融政策徹底解剖」

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黒田総裁は、今月行われた自身最後の金融政策決定会合にて現状維持を決定した。サプライズで政策変更するとも思われたが、課題の数々を植田次期総裁に引き継ぐこととなった。異例の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に植田総裁はどう着手していくのだろうか。

執筆:第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 藤代宏一

執筆:第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 藤代宏一

2005年、第一生命保険入社。2008年、みずほ証券出向。2010年、第一生命経済研究所出向を経て、内閣府経済財政分析担当へ出向し、2年間「経済財政白書」の執筆、「月例経済報告」の作成を担当する。2012年に帰任し、その後第一生命保険より転籍。2015年4月より現職。2018年、参議院予算委員会調査室客員調査員を兼務。早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)。担当領域は、金融市場全般。

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10年にわたる金融緩和策は植田次期総裁へバトンタッチ
(Photo/Shutterstock.com)

黒田総裁、最後の会合で現状維持 植田次期総裁へ託す

 3月10日、黒田総裁にとって最後となる金融政策決定会合は金融政策の現状維持を決定した。筆者は市場参加者の意表を突く形でYCC(イールドカーブコントロール)終了があるとみていたが、黒田総裁はサプライズを伴う政策変更を見送った。

 消費者物価上昇率が2%を明確に上抜け、賃金上昇率も着実に高まってきていることから、YCCという極端な金融緩和の必要性は低下しているが、黒田総裁は良質な物価上昇の持続的実現には粘り強い金融緩和が必要であると判断した。

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黒田氏は、企業の賃上げ環境を整え、粘り強い金融緩和で経済を支えると強調
(Photo/Shutterstock.com)

 声明文の核となる部分には変更を加えず、フォワードガイダンス(将来の政策指針)も維持した。現在のフォワードガイダンス(下記)は新型コロナウイルスまん延の初期段階にあたる2020年4月に緊急対応的に導入されたもので、金融政策の基本的方針がコロナの感染状況に紐づいている。

当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している。

 筆者は新型コロナウイルスの感染上の分類が変更されることを受け、声明文から「コロナ」が落とされると予想していたが、それら修正はすべて植田次期総裁に委ねられた形だ。

「金利」を圧倒的に重要視 現在の金融政策の課題

 ここで日銀の金融政策を改めて確認しておきたい。日銀は「金利」「量」「質」という3本柱を掲げているが、実体としては「金利」が圧倒的に重要であり、「量(長期国債の買い入れ)」は長期金利を0%程度に据え置くために必要な分だけ買い入れるという金利に従属的な位置づけになっており、「質(ETFの購入)」に至っては事実上停止した状態にある。



 ここで「金利」とは短期金利をマイナス0.1%、長期金利を0%程度に据え置くというYCCを指す。長期金利の誘導目標について、その「0%程度」の定義は2022年12月以降、0%プラスマイナス0.5%とされている。

 現在の金融政策が抱える問題と言えば、その複雑さであろう。伝統的な金融政策において中央銀行が持つ政策手段は短期金利の操作であり、これがほぼすべてであると言っても過言ではない。

 ところがゼロ金利政策を長く続けていた日銀は、物価上昇率の低迷を打開するため、量的緩和に加え、ETF購入などと新たな手段を開発し、それらを総動員していった。その結果が現在の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」である。 【次ページ】植田次期総裁は現在の「総動員」の金融政策にどう着手?

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