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- 2023/09/26 掲載
浜松いわた信金がぶち上げた「デジタル人財育成」計画、挙手制でも“なんと半数”参加
アイテック
創業以来40年にわたって情報処理技術者試験対策のサービスを提供。書籍、eラーニング、模試試験、セミナーといった多様な方法により法人・個人向けに試験対策支援をしている。とりわけ昨今は、ITパスポート試験対策にて非IT企業のDX人材育成を幅広く支援。併せて、「デジタルスキル標準」を活用したDX推進企業向けの教育サービスも行っている。
日本マンパワー
1967年創業以来、企業向けの人材開発・キャリア開発・組織開発のサービスを提供。地域系金融機関には、新入社員・次世代リーダー・支店長等の階層別教育、キャリア自律支援、中小企業診断士の育成、ITパスポート試験対策を中心としたDX人材育成など、幅広く支援している。
金融機関がデジタル人財を必要とするワケ
浜松いわた信用金庫は、顧客である地域の中小企業を中心に外部環境が変わりつつあることを背景に、デジタル人財(同金庫では「人材」を「人財」と表現している)の育成に力を入れている。「我々はビジネスモデルとして総合サービス業を標榜しており、金融サービスにかかわらず、お客さまの経営課題に寄り添うソリューションの提案を目標にしています。一方、最近ではお客さまの業務の生産性を向上させるためには、デジタル技術やデータを積極的に活用するなどのDXが求められるようになりました。何かご支援したいと考える中で、我々としてもデジタルの知見を持つ人財を育てる必要性を感じていました」と説明するのは、浜松いわた信用金庫 デジタル推進部 サービス企画課 課長の田尾 晃俊氏だ。
中小企業をはじめ多くの企業がDXに取り組む中で、同金庫には2021年度、2022年度で500件以上のITに関する相談が寄せられたという。顧客接点という意味でも、近年は対面営業だけでなく、特にコロナ禍以降は、ネットバンキングやWebサイトといったデジタル接点が求められるようになり、サービスを充実させていく必要がある。また職員がデジタルの知識を有することは、働き方改革や生産性向上、キャリアアップにもつながる。
こうした背景から、2023年5月に公表した同金庫のDX戦略において、デジタル人財の育成を中核の1つに掲げた(図1)。
そして人財育成方針として、4つの大きな枠組みを設定。同金庫 人事部副部長(人財開発課・ダイバーシティ推進課 課長兼務)清水 玲氏は「1つ目は全職員の能力の底上げです。2つ目は専門性を高める人財育成、3つ目は自己啓発支援の拡充、4つ目として強力な伴走型支援を担う営業人財育成を目指しています」と説明する。
理想を追求しすぎて大苦労? 定義した「デジタル人財の3分類」とは
こうした中、2023年6月からデジタル人財育成プログラムを導入・開始。これを通して、職員のキャリア形成に役立ててもらうとともに、顧客のDXやITツール導入の支援などを強化する。では、どのような人財がデジタル人財として必要となるのか。同金庫では、デジタル人財の定義づけに大変苦労したそうだ。検討当初は高い理想を追い求めすぎて、職員が現状有するITリテラシーと大きなギャップが生まれ、ハードルの高い人財像となってしまった。
しかし、「まずは『どういった課題にはどのようなデジタル化が適しているか』、『中小企業のデジタル化はどのように進展しているか』、『デジタル化に取り組むにはどれくらいのコストがかかりそうか』、といった肌感覚のようなものを身に付けるところから始めようと考えました」(田尾氏)という。
結果的には、デジタル人財として「ベーシック人財」「ビジネス人財」「エキスパート人財」という3分類を定義し、それぞれの人財を育成するための各種プログラムを構築した(図2、後ほど詳しく解説します)。
同プログラムは職員の自主性を尊重してエントリー制で実施。研修内容については、セミナー講習などといったインプット研修だけでなく、レポートの作成や顧客支援の実践といったアウトプット研修を組み合わせていることが特徴という。
「インプット研修は、主に我々が規定した動画コンテンツを視聴してもらい、デジタルの知識やスキルを身に付けてもらいます。また、ITに関する肌感覚を身に付けてもらうために、実例を中心とした研修企画も考えています。ただし、学習した内容を本当に血肉とするためには、アウトプットすることが必要です。そこで、自分の業務の課題を可視化させたり、関連レポートを提出してもらったり、実際にお客さまにサービスとして生かしてもらったり、といった実践的なアウトプット研修も組み合わせています」(田尾氏)。
では、同金庫のデジタル人財プログラムは具体的にどのようなメニューで進めているのだろうか。 【次ページ】ベーシック人財・ビジネス人財・エキスパート人財はどんな人財?
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