- 会員限定
- 2024/03/08 掲載
500事例からみる組込型金融、GMOあおぞらネット銀「API」の利用状況とその展望
改めて、組込型金融とは?
組込型金融とは、非金融事業者がサービスに金融サービスを組み込んで提供することを指します。新たな顧客体験の創出やビジネスモデルの拡張に貢献でき、2024年2月現在においても、国内外問わずあらゆるビジネスの将来像を示す重要な要素だと筆者は考えます。組込型金融という言葉自体は、2019年に米国で開催された「a16z Summit」でベンチャーキャピタルのアンジェラ・ストレンジ氏が示した「すべての企業は金融サービス企業になる」という発言から注目されることになりました。すべての企業、つまり業態や規模を問わず、組込型金融によって新しいサービスが生まれる可能性が示唆されています。
組込型金融は、大きく5つの領域に分類できます。
組込型金融の類型 | 提供機能 | 主な機能内訳 | 主な法律 |
組込型銀行 | 銀行機能 | 預金、融資、口座振替など | 銀行法 |
組込型決済 | 決済機能 | クレジットカード、デビットカード、QRコード決済など | 銀行法 資金決済法 割賦販売法 |
組込型保険 | 保険機能 | 損害保険、生命保険など | 保険法 |
組込型貸付 | 貸付機能 | ローン、クレジットカード、キャッシングなど | 銀行法 貸金業法 割賦販売法 |
組込型投資 | 投資機能 | 投資信託、株式、債券など | 金融商品取引法 |
現在、国内で主に先行しているのは組込型決済の領域で、さまざまな決済手段が提供されており、現金・クレジットカード以外の選択肢が増えています。組込型決済の登場もありキャッシュレス決済の比率は、経済産業省によると堅調に上昇しており、2022年では決済の36.0%、111兆円がキャッシュレス化されています。
組込型金融は、従来の銀行モデルとは大きく違い、より「お客さまに近づく」ことのできる、新たなタイプの銀行サービスといえます。ネット銀行を利用する際でも、インターネット上の銀行に訪れる必要がありましたが、事業者のWebサイトやアプリに銀行サービスが組み込まれることで、いつの間にか銀行サービスを享受されている状態となります。
組込型金融とBaaS
組込型金融とよく並んで紹介される言葉が、BaaS(Banking as a Service)です。筆者の所属するGMOあおぞらネット銀行では、組込型金融を「非金融・金融問わず、すべての事業者が享受する金融サービスの概念」、BaaS(Banking as a Service)を「組込型金融を支える手段」と定義しています。
BaaSを理解する上で紹介したいのは、マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ氏が1994年に発言したとされる「銀行機能は必要だが、今ある銀行は必要なくなる」という言葉です。それから28年後の現在、銀行は銀行のサービスや機能をアンバンドリング(分解)し、必要な銀行機能のみをパーツとして提供しています。
GMOあおぞらネット銀行の場合、銀行APIのラインアップで35種類。専用カードや専用支店なども加えると40種類以上の銀行機能をパーツ化して提供しています。
組込型金融、BaaSで得られる体験とは?
組込型金融、BaaSの特徴は何か何でしょうか。最もわかりやすいのは、「自動化により得られるフリクションレスな体験」です。たとえば、ふるさと納税の返礼品が寄付者に到着すると、自動で返礼品代金が返礼品事業者さまに支払われるようなサービスもあります。返礼品代金の着金が遅れ、事業者の資金繰りに悪影響を及ぼしていた課題を、組込型金融の導入し、手段としてBaaSを活用した事例です。
関連コンテンツ
PR
PR
PR