• 2026/05/15 掲載

なぜAIは金融業界の「第2のコンピュータ革命」? エヌビディアが語るその構造とは(3/3)

FINOLABコラム

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オープンソースが「銀行の未来」を左右する理由

 NVIDIAの年次調査「State of AI Survey」(回答約900人)では、ほぼ全員が投資の継続・加速を、約90%がAIの収益・コスト効果を実感し、84%が「オープンソースは自社に不可欠」と答えた。銀行が競争優位を築くには、数十年かけて蓄積した固有データをオープンソース基盤モデルと組み合わせ、独自のインテリジェンスを作る必要がある。

「オープンソースモデルに自社のデータを加えれば、それはあなたのモデルになる。他の誰のものでもない。あなたのように反応し、プロセスの流れや過去のデータに基づいて意思決定を支援するものだ」(ブランコ氏)

 NVIDIAは医療、自動運転、ロボティクス、エージェント型AIなど多分野でオープンソースモデルを開発・公開し、モデル本体に加え訓練データや重みまで自由に使えるライセンスを採用している。派生モデルの開発も完全に自由だ。

「我々のオープンソースモデルで最も重要なのは、性能が良いことだけではない。最も"オープン"で、データや重み付けに加え、柔軟なライセンスによって自由に利用できることだ」(ブランコ氏)

エヌビディアと金融業界

 半導体(GPU)メーカーから「AI・高速計算(HPC)・データ基盤」の提供企業へ進化したNVIDIAは、まずアルゴリズム取引・クオンツ分析の高速処理で金融業界と接点を持ち、信用・市場リスク計算、不正検知、顧客分析へと用途を広げてきた。現在では生成AI・LLMを支える基盤としてGPUが不可欠であり、多くの金融機関はオンプレミスだけではなく、AWS・Azure・GCPなどのクラウド経由でこれを利用している。その結果、NVIDIAには金融AIのユースケース情報が世界規模で集積されており、金融事業者ではないにもかかわらず金融エコシステムの「見えないキープレーヤー」ともいえる存在となっている。

 NVIDIAのイベントでは楽天、みずほFG、MUFG、KDDI、京都大学、野村総研、大和総研などの先進事例が紹介された。欧米大手行との連携で膨大な知見を蓄積するNVIDIAは、本邦金融機関にとってもAI戦略推進の重要なパートナーとなっていくであろう。

技術の問題ではなく、ビジネスの問題

 ブランコ氏は最後にこう締めくくった。

「我々の業界にとって、AIは技術の問題ではない。技術はすでにあり稼働しており、問題は解決できる。これはビジネスの問題だ。銀行とは何になるのかを、完全に再構想する挑戦だ」(ブランコ氏)

 問われているのは、どの設計思想で、どのモデル群を、どの領域から実装するかという“設計”の問題だ。1961年のバークレイズの選択がその後60年の銀行業を形作ったように、2025年に始まったAIファクトリー導入が今後10年、20年で業界をどう変えるかを正確に見通せる者はいない。

 しかし、金融がデータ産業であり、AIがそのデータをインテリジェンスに変える技術である以上、革命的変化が起きないはずがない。金融業界は今、第二のコンピュータ革命の入り口に立っている。

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