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- 2023/09/07 掲載
2024年問題で4割倒産…? 迫る物流壊滅を絶好機に変えた「プロロジスらの独自路線」
日本物流不動産評価機構代表理事、物流不動産協同組合理事長など兼任。東京倉庫運輸入社後、物流及び不動産の実務経験を積み、物流不動産ビジネスを創始。現在、約60社に及ぶイーソーコグループ企業を統括、近未来の同グループ企業総数100社を目指している。日本大学生産工学部の科目内の講師、流通経済大学客員講師などで物流不動産についての講義、講演を行なう。著書に「すぐわかる物流不動産」(公益社団法人日本不動産学会著作賞授賞、共著、白桃書房)、「これからは倉庫で儲ける! 物流不動産ビジネスのすすめ」、「こうすれば倉庫で儲かる!物流不動産ビジネスの実務」(いずれも日刊工業新聞社)などがある。
物流企業の「なんと4割」が倒産も?
働き方改革関連法によって「自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制」が適用されることにより、残業時間の規制がなかった物流業界では、大きな問題が起きる可能性がある。残業時間が規制されることで、トラックドライバーは残業手当分の収入が減ることとなる。残業代込みの月収で生活を強いられてきたドライバーはどうなるのか。労働力不足が叫ばれてきた物流業界で、さらに業界離れが加速するのではないかと懸念されている。
特に影響が深刻なのは99%を占める中小物流事業者の経営だろう。運送会社はドライバーの労働時間が圧縮されることで、獲得する案件も縮小または限定せざるを得なくなる。こうした売上高減少や人手不足から、最大4割の事業者が倒産・廃業するという見方もある。
また荷主企業にとっても、レギュラーの長距離輸送が難しくなったり、運賃が値上がりしたりする可能性もあり、実際、すでにそうしたことが各所で発生している。
2024年問題対策に着目した「物流不動産デベロッパー」
こうした中、2024年問題への対策が活発化している。たとえば中継輸送だ。中継拠点を設置しつつ、長距離運行を複数のドライバーで中継することにより、各ドライバーが日帰りで勤務できるようになるなどの負担軽減が期待されている。国土交通省のアンケート調査によると、中継輸送を実施しているトラック運送事業者は約16%と、まだ多いとは言い難い。だが、「興味がある」、「これから導入したい」との回答は半数に上り、中継輸送への期待度の高さが伺える。
こうした2024年問題を好機に捉え、あらゆる戦略を打ち出しているのが物流不動産デベロッパーだ。従来から見られる郊外型大規模物流不動産の開発や、中継輸送拠点のニーズを取り込む物流不動産の開発をはじめ、各社の戦略は多角化してきている。 【次ページ】プロロジス・アライプロバンス・TRCの戦略は?
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