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- 2025/10/20 掲載
ゴールドマン予測「運転手より安くなる」、ソフトバンクやNVIDIAの自動運転の衝撃
英大学院修了後、RPA企業に勤務。大手通信社シンガポール支局で経済・テクノロジーの取材・執筆を担当。その後、Livit Singaporeでクライアント企業のメディア戦略とコンテンツ制作を支援(主にドローン/AI領域)。2026年2月、シンガポールで「SimplyPNG」を設立し、AI画像編集のモデル運用とGPUコスト最適化を手がける。主にEC向け画像処理ワークフローの設計・運用自動化に注力。
カーブでシステム停止、ソフトバンクの「遠隔支援」アプローチ
カーブを曲がる最中に自動運転システムが突然停止したら、どうなるか。多くの人は事故を想像するだろう。自動運転システムが完全に運転を担うレベル4の実現・普及に向け、避けては通れない問題だ。この課題に、ソフトバンクは「AITRAS」という独自システムで切り込んでいる。
AITRASの仕組みは、従来の自動運転車とは一線を画す。車両搭載のカメラ映像を5Gネットワーク経由でエッジAIサーバに送信し、NVIDIAのGPU演算プラットフォームでリアルタイム解析を実行。障害物や路面状態を瞬時に認識し、その結果を車両に送り返す。重要なのは、車両側に膨大な計算リソースを搭載する必要がない点だ。高価なハードウェアを各車両に搭載するのではなく、ネットワーク側で処理を担う。
2025年2月の慶応大学湘南藤沢キャンパスでの実証実験は、その威力を証明した。カーブ走行中に自動運転システムの一部機能を意図的に停止させるという過酷な条件下で、AITRASの遠隔支援により車両は安全に停止できた。さらに横断歩道に障害物がある状況では、交通理解マルチモーダルAIが交通リスクを分析し、低遅延で停止指示を伝達。車両は障害物の手前で確実に停止した。
ここで注目すべきは、ソフトバンクが選んだ戦略だ。完全自動運転を一気に目指すのではなく、遠隔支援を組み合わせた段階的アプローチを採用。先端技術研究所の湧川隆次所長が指摘するように、現在の自動運転車は基本的な運転操作はできても、予期せぬ事態への対処が難しく、これが自動運転の社会実装の大きな課題として残っている。AITRASの登場により、このボトルネックが解消し、社会実装が一気に進む可能性も見えつつある。
この遠隔支援という発想は、技術的にも経済的にも理にかなっている。後述するゴールドマン・サックスの予測によれば、遠隔オペレーターの管理効率は劇的に向上し、2030年には1人が10台、2040年には35台を管理できるようになる。AITRASのアプローチは、日本における自動運転レベル4実用化に向けた、現実的な道筋の1つと言えるだろう。 【次ページ】「次の1兆ドル企業」とNVIDIACEOが評価した企業とは
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