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- 2025/09/29 掲載
【単独】あまりに大胆…400万人が使う越境ECに学べ、「超高速・中国式」経営の極意
連載:「日本の物流現場から」
Pavism 代表。元トラックドライバーでありながら、IBMグループでWebビジネスを手がけてきたという異色の経歴を持つ。現在は、物流業界を中心に、Webサイト制作、ライティング、コンサルティングなどを手がける。メルマガ『秋元通信』では、物流、ITから、人材教育、街歩きまで幅広い記事を執筆し、月二回数千名の読者に配信している。
ユーザーは400万人、中国向け越境ECの正体
SIG Serviceが運営する、日本から中国などに向けた越境ECサイト「Doorzo(ドーゾ)」は、中国向け越境ECとしては最多の約400万人(取材時)のユーザーを抱える最大手である。Doorzoは、楽天市場、メルカリ、ブックオフなど日本国内の複数ECサイトとデータ連携しており、日本国外ユーザーのために商品の代理購入を行っている。
ユーザーには90日間の無料保管サービスを提供。まとめて発送したほうが配送費は安くなるため、ユーザーは自分の欲しいアイテムを複数購入して無料で保管してもらいつつ、自分の好きなタイミングで発送依頼を行えるのだ。
2015年に越境ECを開始した当初、取扱商品は化粧品などが中心だった。最近では、アニメグッズなどのエンターテインメント関連商品の割合が多いという。
「いわゆる『爆買い』など、来日する中国人が求める商品も時を経て変わっていきます。同様に『Doorzo』で取り扱う商品も変化しています」(張氏)
ちなみに、1ユーザーの平均的な保管期間は10日間程度、購入商品数は4~5アイテムだそうだ。現在の三郷物流センター(埼玉県三郷市)内では、常時数十万ピースのアイテムを保管している。
倉庫の移転前に「物流ロボット」を導入したワケ
現在、同社は三郷市内にある物流センターにフルフィルメント機能を統合したが、それ以前は、都内に倉庫を分散しており、その数は5カ所にまで増えていた。取扱量の増加に伴い随時倉庫を拡大していったそうだが、結果、商品の横持ち輸送など余計な手間や負担が増加してしまった。そんな中、張氏は2023年1月に5カ所に分散していた倉庫の1つに物流ロボット「t-Sort AGV」を導入した。
張氏は当時の事情について、「業務量の増加による作業員の負担やストレスが看過できないほど高まっており、早急に仕分け業務の自動化に取り組まなければなりませんでした」と振り返る。
しかし実は当時、すでに倉庫の移転統合を決定しており、実際、2024年1月、三郷物流センターに移転している。
たしかにt-Sort AGVは他の物流ロボットや自動ラック・自動倉庫などに比べれば移設は簡単である。しかしそれでも移設作業は発生する。
「物流センターの移転統合が決定していたんですよね? 1年くらいであれば物流ロボットの導入を待てなかったのですか?」という筆者の質問に、張氏はこう即答した。 【次ページ】移転まで物流ロボット導入を「待てなかった」ワケ
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