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  • 2025/09/30 掲載

批判殺到「走行距離税」はなぜ必要? 大炎上の裏に隠れた、代替案なき「3つの理由」

連載:「日本の物流現場から」

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1リットルあたり25.1円上乗せの「暫定税率」が廃止される方針が示され、世間が喜びの声で満ちた矢先に登場した「走行距離課税」。走った分だけ課税される新たな課税制度が検討されていることに対し、「物流殺し」「地方いじめ」などと刺激的な言葉で批判されている。だがEVやFCV(燃料電池自動車)といった新エネルギー車が今後増えていくことを考えると、ガソリン税、軽油取引税といった燃料税の減収は不可避だ。にもかかわらず、走行距離課税はSNSを中心とした扇情的な批判投稿によって、冷静で客観的な議論ができない状態に陥っている。そこで今回、走行距離課税におけるあるべき議論に立ち返ってみる。
執筆:物流・ITライター 坂田 良平

物流・ITライター 坂田 良平

Pavism 代表。元トラックドライバーでありながら、IBMグループでWebビジネスを手がけてきたという異色の経歴を持つ。現在は、物流業界を中心に、Webサイト制作、ライティング、コンサルティングなどを手がける。メルマガ『秋元通信』では、物流、ITから、人材教育、街歩きまで幅広い記事を執筆し、月二回数千名の読者に配信している。

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走行距離課税がなぜ必要なのか
(Photo/Shutterstock.com)

「田舎いじめ」「三重課税」など批判続々…

 その名のとおり、走行距離課税とは車両が走行した距離に応じて課税する新たな税制度である。現在の揮発油税(ガソリン税)や軽油引取税といった燃料税に代わる新たな税制度として議論されている。

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【自動車税制はすでにこんなに…】図1:日本における現行の自動車税制の概要。ここに走行距離課税の追加が議論されている
(筆者作成)

 だが現状では走行距離課税の導入に対しては否定的な意見が多い。

 たとえば全日本トラック協会では、「令和7年度トラック関係施策に関する要望書」において、乗用車における年間走行距離を、わずか1カ月前後で走ってしまう営業用トラックの事情を鑑み、「走行距離課税の導入など営業用トラックにおける新たな税負担について断固反対である」と明言している。またSNSなどでは物流関係者による「走行距離課税は物流殺しだ!」という厳しい批判があふれている。

 地方在住者から上がる反発の声も大きい。公共交通機関の整備が十分ではない地方部では都市部に比べて移動距離がおのずと長くなってしまうため、走行距離課税は地方在住者のほうが負担は大きくなる。

 さらに、(一般論ではあるが)地方在住者は都市部在住者に比べて収入が低く、走行距離課税の導入によるネガティブなインパクトは、都市部在住者よりも大きくなることは想像に難くない。

 こういった事情を踏まえ、SNSでは走行距離課税に対し、「田舎いじめ」といった強い言葉で批判されている。

 ほかにも、「燃料税に加えて走行距離課税まで取られたら二重課税だ!」、あるいは「消費税まで加えると三重課税だ!」といった声も上がっている。

 方法はほかにもありそうなものだが、なぜ「走行距離課税」なのだろうか。

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次のページ以降では、走行距離課税である「3つの理由」や、反対やデマが拡散される理由、また物流業界への影響などについて解説します
【次ページ】走行距離課税が必要な「3つの理由」
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