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- 2025/07/11 掲載
運送業界は「正直者が馬鹿を見る…」、愛知の29歳社長が挑む「常識破りの働き方改革」
連載:「日本の物流現場から」
Pavism 代表。元トラックドライバーでありながら、IBMグループでWebビジネスを手がけてきたという異色の経歴を持つ。現在は、物流業界を中心に、Webサイト制作、ライティング、コンサルティングなどを手がける。メルマガ『秋元通信』では、物流、ITから、人材教育、街歩きまで幅広い記事を執筆し、月二回数千名の読者に配信している。
「従業員を魂を込めて育てたい」
高校を卒業後、個人事業主として貨物軽自動車運送事業を行っていた。当時23歳の柳川佑平氏は、2018年にmirai計画を設立。さらに2022年には愛知県蒲郡市に本社を置く運送会社のホイテクノ物流の出資を受けた。まだ20代の柳川氏が、年商約78億円、保有車両台数245台という中堅物流企業のホイテクノ物流から出資を取り付けたことも驚嘆に値するのだが、その後、2024年10月にホイテクノ物流から株式を買い取り、出資関係を解消したのだ。
この理由について、柳川氏は「私の中にある物流への想い、そして従業員を魂を込めて育てていきたいという想いが、日に日に強くなっていったためです」と説明する。
今でもホイテクノ物流とのビジネスは継続しているというから、この経緯はネガティブなものではなく、ホイテクノ物流側が柳川氏の可能性にかけた期待を示すポジティブなものと理解すべきだろう。
2024年問題への対応で「25名中8名も退職」…
2024年4月1日に施行された働き方改革関連法は、運送業界のみならず、日本社会に大きな影響を与えた。「トラックドライバーの年間時間外労働時間の上限を960時間とする」、いわゆる物流の2024年問題である。
物流の2024年問題は、ドライバーの残業を減らし、法令順守を行おうとした運送会社に大きな打撃を与えた。残業の削減による残業手当の減少(すなわち収入低下)を嫌がるドライバーの中には、法令を順守せずに長時間労働を引き続き行う、ブラック運送会社へと転職してしまう者もいた。
言ってみれば、「正直者が馬鹿を見る」状況を、物流の2024年問題は生み出してしまった。
柳川氏は、物流の2024年問題に対処すべく、mirai計画流の働き方改革を断行。これを社内発表したのが2023年12月のことだ。翌月(2024年1月)には、25名中8名のドライバーが退職してしまったが、その後の1年あまりで従業員は18名も増え、取材時点(6月時点)では35名まで増えているという。
【次ページ】mirai計画流「働き方3つ」と斬新すぎる「“逆”残業手当」とは
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