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- 2024/06/13 掲載
グリーンスチールとは何か? 日本製鉄や神戸製鋼、JFEが「こぞって注力」するワケ
グリーンスチールとは何か?
グリーンスチールとは、従来の製鉄プロセスにおける高いCO2排出量を減少させた、環境に優しい製造方法で生成された鉄を指す。従来の高炉法では、鉄鉱石と石炭を原料に溶鉱炉(高炉)で銑鉄を得たのち、転炉で成分を調整することで鉄鋼を生産してきた。この製鉄方法のプロセスは、高品質・経済性を両立させる効率的な手段であるものの、鉄鉱石を還元する過程で石炭が使われるため、製造プロセスでCO2が大量に排出される。
一方、グリーンスチールの製造においては、石炭の代わりに、水素や天然ガスを用いて還元することによって得た還元鉄を活用するなどの工夫で、排出量を削減する。水素を用いた製鉄法は、今後、グリーンスチールの代表的な生産方法の1つとなることが期待されている。水素を用いて鉄鉱石を還元することで、CO2の排出を抑えることができるため、環境負荷が大幅に低減する。
鉄鋼業の脱炭素化に向けたプロセスの転換の候補には、大きく分けて「水素還元製鉄」「直接還元製鉄」「電炉化」の3つがある。こうした生産プロセス転換に向けて、政府は国費負担額4,499億円を上限に、グリーンイノベーション基金「製鉄プロセスにおける水素活用」事業で支援する。
なぜグリーンスチールは注目されているのか?
グリーンスチールへの注目度が高まっている背景には、地球規模での環境問題の深刻化がある。特に、地球温暖化防止への国際的な取り組みが強化されている中、産業界におけるCO2排出量の削減が急務となっている。世界的にみても製造業はCO2 排出量が大きく、日本でも国内の部門別排出量の約35%を占めている。その日本の製造業のうち、業界別CO2 排出量を見ると、鉄鋼業が37%と大きな割合を占めており(2020年時点)、鉄鋼業の環境負荷の削減が求められている。
さらに、企業における環境経営への意識の高まりや、消費者の間での環境に優しい製品への関心の増加も、グリーンスチールへの関心を高めている。
今後、日本のものづくりをけん引する鉄鋼業において、環境負荷を軽減しつつ、産業の国際競争力を高める両立した取り組みが求められている。
また、2023年4月15~16日に札幌で開催された「G7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合」の声明文書では、世界共通の課題である気候変動対策として、生産プロセスにおいてCO2を排出する産業を脱炭素化する「産業の脱炭素化」の重要性が強調されている。 【次ページ】日本製鉄、神戸製鋼、JFEスチールが注力する理由とは?
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