- 会員限定
- 2024/08/19 掲載
ホンダ・日産・三菱自動車は「トヨタ軍」に勝てる?3社協業がもたらす結構すごい効果
日産・ホンダ・三菱自動車は何のために協力する?
3社が戦略的パートナーとして協力するのは、以下の5つの領域とされています。この内容を見ると、攻めの領域としての「次世代SDV(ソフトウェアデファインドビークル)」の共同研究、守りの領域として「電動化対策&相互補完」といった構図になっていることが分かります。攻めの領域として挙げられるSDVとは、ソフトウェアによって定義されるクルマを指します。従来のクルマは、車両の性能や機能を左右する重要な要素としてハードウェアが主にあり、それをソフトウェアが従として補助するという関係にありました。つまり、クルマ作りにおいてはハードウェア重視だったのです。
一方、SDVとは、車両の性能や機能をソフトウェアによって制御することで、性能や機能のアップデートを可能にした車両を指します。ソフトウェアがバージョンアップなどにより進化する度に、クルマとしての性能や価値を高めることができるわけです。
とはいえ、実際には、まだ概念があるだけで、具体的なモノは登場していません。未開のものだからこそ、先行すれば大きな利益を得ることができます。そこを攻めるのが、今回のパートナーシップの狙いにもあると考えられます。
また、車両の相互補完も守りの戦略です。日産もホンダも三菱も、それぞれに得意な分野があります。日産であれば、比較的大きなクルマが得意ですし、逆にホンダは小さなクルマに強みがあります。そして三菱自動車はSUVや4WDが十八番です。それぞれの得意な領域を生かし合い、ラインナップの不備をカバーすることができるのが車両の相互補完の狙いでしょう。
今後の勢力図はどう変わる? トヨタ連合との距離は縮まる?
今回の戦略的パートナーシップによって、日産自動車&ホンダ&三菱自動車という新しい勢力が生まれました。2023年の3社の年間生産台数は、日産自動車が約344万台、ホンダが約419万台、三菱自動車が約102万台。3社で合計865万台になります。トヨタやフォルクスワーゲンの1000万台レベルには届きませんが、GMやステランティスを上回る規模になります。ただし、今回のパートナーシップは、あくまでも戦略的なものであり、お財布は別。いきなり、世界3位レベルの会社が生まれたわけではありません。また、そもそもトヨタは、スズキやスバル、マツダとパートナーになっています。こちらのトヨタのグループは合計で1500万台レベルと、さらなる大きな勢力となります。逆に言えば、その大きな勢力に個別に挑むのではなく、日産・ホンダ・三菱自動車が力を合わせて立ち向かおうというのが、今回の戦略的パートナーシップとなります。
それでは、今回の日産・ホンダ・三菱自動車の戦略的パートナーシップは、どのような効果を生み出していくのでしょうか。それを考えるには、短期と長期という2つの時間軸があります。戦略的パートナシップの内容として語られた(1)~(5)のうち、どれが短期的・長期的に効果を発揮する取り組みになるのでしょうか。 【次ページ】3社の協業がもたらす「結構すごい効果」とは?
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR