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- 2024/08/27 掲載
絶望感しかなかった…富山のメーカーが「指示待ち社員」を激変させた、人材改革の軌跡
連載:爆売れ工場のつくり方~サクラパックス編~
「絶望感しかなかった」サクラパックス
サクラパックスは、昭和22年創業の段ボール製造会社です。2008年に、入社から12年ほどが経った私が、当時ワンマン社長だった先代(父)の後を継いで3代目社長に就任しました。とは言え、そこからすぐに社長業を始めたわけではなく、当時役員を務めていた日本青年会議所の活動で忙しく、実質的に社長の座に就いたのは2012年の冬でした。そのときになって初めて、自社の現状を知ることになりました。
当時のサクラパックスは、父が30年以上にわたりワンマン社長として君臨してきたことから、社員だけでなく役員までもが社長の顔を見て指示を待つだけの状態でした。新製品の開発や顧客への新たな提案などをすることもなく、顧客から頼まれた段ボールを作るだけの会社だったのです。
会社の業績そのものは好調でしたが、私には絶望感しかありませんでした。なぜなら、会社は父のワンマン経営を30年以上続けてきた結果、人材がまったく育っていなかったからです。
役員は決算書を読むことすらできず、どんぶり勘定状態。営業担当者は得意先の要望を聞くこともなく、自分たちが売りたいものの注文を取りに行くだけ。
工場においても品質向上や新たな技術の導入、新製品開発のことなど考えることもなく、いつもどおりに段ボールを作るだけ。会社全体が漫然と注文をこなすためだけに回っていて、社員たちが仕事にやりがいを持って取り組んでいるとは言えない状態だったのです。
そんな中、私が形式的に社長に就いた2008年にリーマンショックが起こりました。世界中で経済活動が縮小して、段ボールの需要が大きく減ったのです。先を見据えても、日本は少子高齢化で、2008年をピークに人口減少が続いており、日本の経済規模が縮小していくことは明らかです。そうなれば、段ボール需要もさらに縮小していくのは確実です。
「このままでは会社の先はない」と感じた私は、会社を一から建て直すことを決意しました。 【次ページ】数年かけた「意識改革」、支えは250ページの「バイブル」
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