• 2026/03/31 掲載

【保存版】4月施行「物流効率化法」徹底解説、荷主が絶対に対応すべき「ポイント3つ」

連載:「日本の物流現場から」

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日本の物流産業が歴史的な転換点を迎えようとしている。「物流の2024年問題」から始まった物流革新政策は、荷主にも物流改善の責任を問うという画期的な方針を打ち出した。明日の2026年4月、その本丸である物流効率化法が、いよいよ本格始動する。特定荷主、CLO(物流統括管理者)、中長期的な計画、1運行2時間ルールなどの施策とともに、貨物自動車運送事業法、改正下請法(取適法)などの側面支援も受け、物流業界はどのように変わるのか? 本記事では荷主が取り組むべきことについて、法的な側面と、業界における心理的変化の側面の両視点を交えながら解説する。
執筆:物流・ITライター 坂田 良平

物流・ITライター 坂田 良平

Pavism 代表。元トラックドライバーでありながら、IBMグループでWebビジネスを手がけてきたという異色の経歴を持つ。現在は、物流業界を中心に、Webサイト制作、ライティング、コンサルティングなどを手がける。メルマガ『秋元通信』では、物流、ITから、人材教育、街歩きまで幅広い記事を執筆し、月二回数千名の読者に配信している。

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物流効率化法をわかりやすく解説
(AI(Gemini/Nano Banana)を使用して生成)

主な取り組みは2つ

 改正物流効率化法(物資の流通の効率化に関する法律)は、物流事業者とともに、物流サービスを享受する荷主への共同責任を明文化。対象範囲と義務の重さが段階的に強化される仕組みとなっている。

 旧来の物流政策は、国土交通省の管轄下にある運送会社や倉庫会社などの物流事業者を対象としていたが、2023年から本格始動した物流革新政策では経済産業省と農林水産省も座組に加わり、荷主らに対象を拡大した。

 まず2025年4月1日より、規模の大小を問わず、すべての荷主、物流事業者、連鎖化事業者(コンビニエンスストアを経営するフランチャイズ本部など)に対し、物流効率化に向けた取り組みが努力義務として課されている。

 主な取り組みは、以下の2つである。

  • 積載効率の向上
    共同配送の推進や配送頻度の見直しなどを行い、1回の運行でトラックに積載する貨物の積載効率の向上を図ること。
    なお政府は、2028年までに積載効率を44%に増加させるという目標を掲げている(2018年度の実績は約38%

  • 荷待ち・荷役時間の短縮
    ドライバーがトラックを運転する以外に要する、荷待ちや荷役、あるいは受付、伝票の収受、ラベル貼り、検品などにかかっている時間を削減すること。
    なお政府は、「1運行の荷待ち・荷役等時間を2時間以内」「1回の積み卸しにかかる荷待ち・荷役等時間を1時間以内」に収め、ドライバー1人当たり年間125時間の拘束時間の短縮を目標に掲げている。

 これらの取り組みは、トラック・物流Gメンをはじめとする政府機関による摘発・指導・助言の対象となり、必要に応じて取り組み状況の公表が行われる。

 2025年4月からの1年間は、2026年4月に待ち受ける改正物流効率化法の本格施行に向けた準備・助走期間として、企業に自社の物流実態を把握し、改善サイクルを回すことを促す狙いがあると考えるべきだろう。

罰則付き法的義務に…特定事業者の「指定基準」は?

 2026年4月1日からは、一定規模以上の貨物量を取り扱う事業者が、特定事業者に指定される。特定事業者は、これまでの努力義務が「罰則を伴う法的義務」へと切り替えられる。(詳しくは次の章で解説する)

 まず特定事業者は、荷主および連鎖化事業者のうち、年間取り扱い貨物の重量が9万トン以上の場合に指定される。(なお特定荷主と特定連鎖化事業者は、基本的に同じ内容の義務や取り組みが課されることから、本稿では以降、まとめて荷主と表記する)

 この「年間9万トン」という基準については、「輸送される貨物の50%をカバーできるように設定している」と説明されている。

 なお、国土交通省が発表した「物流改正法ご質問への回答」においては、自社が特定事業者に該当するかどうかの判断については、前年度の取り扱い貨物重量の実績を自ら把握し、自らの責任で特定事業者に該当するかどうか判断しなければならないとしている。

 なお、特定荷主としての指定を受けるのは、毎年5月末が締め切りとされている。よって、改正物流効率化法の施行元年となる2026年は5月31日までに2025年度の取り扱い貨物重量の実績を出した上で、該当する場合には手続きを行う必要がある点にも要注意である。

 ちなみに特定荷主に該当するにも関わらず、故意に届け出を怠った場合には50万円以下の罰金が科される可能性がある上、国は特定荷主に該当するかどうか、報告徴収や立ち入り検査を行うことができる。

 「面倒だから、特定荷主の届け出はしないでおこう」といった判断は、自らの首を絞める可能性があるので避けるべきだ。

 改正物流効率化法における特徴の1つである第一種荷主と第二種荷主についても説明しよう。

  • 第一種荷主(発荷主)
    主にメーカーや卸などの「貨物を送る側」が該当。

  • 第二種荷主(着荷主)
    自らは運送契約を締結しないが、継続的に貨物の受け取りまたは引き渡しを行う事業者を指す。主に小売業や工場の「受け取る側」が該当。


 たとえばメーカーは、原材料や部品などを調達する第二種荷主としての側面と、これらを製品として送り出す第一種荷主としての側面の両方を持つ。この場合、第一種荷主、第二種荷主それぞれの貨物量を合算するのではなく、それぞれ個別に「年間9万トン以上」という基準に達するかどうかを判断することとなる。

 第二種荷主(着荷主)を定義し、責任を課したことは、改正物流効率化法の評価すべきポイントだろう。実際のビジネスシーンでは、たとえば「必ず朝9時に納品しなさい」というように、着荷主側が物流効率化に反する指示を出しているケースも多い。発荷主に対しての義務化だけでは物流効率化は実現できないという現実を考慮した結果なのだろう。

 以上をまとめて、特定事業者の指定基準は以下の表の通りとなる。

特定第一種荷主
特定第二種荷主
特定連鎖化事業者
年度の取り扱い貨物重量が9万トン以上
特定倉庫事業者 年度の貨物の保管量が70万トン以上
特定貨物自動車運送事業者等 保有車両台数が150台以上

特定事業者に課される「義務と罰則」の中身

 この特定事業者に指定された特定荷主および特定連鎖化事業者は、主に以下の3つの義務が課される。

  • 物流統括管理者の選任
    役員クラスの経営層から責任者を任命し、国に届け出ること。
    なお、現在では「物流統括管理者=CLO(Chief Logistics Officer)」と呼ぶことが一般的になっており、本稿でもこれ以降は物流統括管理者ではなく、CLOと表記する。

  • 「中長期的な計画」の作成・提出
    物流効率化に向けた5カ年程度の具体的な計画を策定し、主務大臣へ提出する。

  • 定期報告の提出
    毎年度、取り組みの進ちょく状況や、荷待ち・荷役時間の実測値などを報告する。

 なお、「中長期的な計画」の作成・提出と、定期報告の提出、そして「中長期的な計画」および定期報告の元となる物流効率化のための活動を管理・監督するのが、改正物流効率化法においてCLOに課された役割である。

 これらの義務に違反した場合や、改善命令に従わない場合には、最大100万円の罰金や企業名の公表といった制裁が科される可能性がある。特定事業者に課される項目と罰則等については以下の表を参照したい。

項目 2025年4月1日施行 2026年4月1日施行
特定荷主および特定連鎖化事業者 非特定事業者
CLO(物流統括管理者)の選任 選任義務(法的義務)
※違反は100万円以下の罰金
実施不要(努力義務の範囲)
中長期計画の作成・提出 作成・提出義務(法的義務)
※違反は50万円以下の罰金
実施不要
定期報告の提出 提出義務(法的義務)
※違反は50万円以下の罰金
実施不要(任意報告の仕組みを検討中)
物流効率化の取り組み(判断基準の順守) 努力義務 法的義務(※取り組みが著しく不十分な場合には、勧告・命令あり)
※違反は最大100万円の罰金
努力義務(2025年からの継続)
運送契約の書面化 法的義務(実運送会社との契約時) 法的義務(利用運送会社へ拡大)
違法な「白トラ」利用の禁止 指導・適正の対象(トラックGメン等) 禁止(法的義務)
※規模を問わず全荷主が処罰対象

【ポイント1】荷待ち・荷役時間の短縮

 荷待ち・荷役時間の短縮を実現するためには、実際の荷待ち・荷役時間を把握する必要がある。

 トラックが貨物の積み卸しを行う場所に到着した「到着時刻」「荷役開始時刻」「荷役終了時刻」の計測については、特定荷主以外で努力義務、特定荷主では計測した上で毎年度報告する義務が課されている。

 ただし、非特定荷主においてもトラック・物流Gメンによる是正指導の対象となる可能性があるので、記録しておいたほうが無難だろう。

 また、特定荷主においては以下に留意する必要がある。

  • 工場や物流センターなどの施設ごとに、「到着時刻」「荷役開始時刻」「荷役終了時刻」を計測し、それらに基づく平均時間を算出・記録する必要があること。

  • すべての施設における、すべての「到着時刻」「荷役開始時刻」「荷役終了時刻」を計測することが基本。ただし、これが難しい場合には、荷待ち時間等として荷待ち・荷役・付帯作業等の時間を分けないで計測することも可能。さらに全量計測が難しい場合には、「取り扱う貨物重量の半分程度を把握」することを前提に対象施設を絞り込み、「四半期ごとに連続した5営業日以上」の計測を行い、報告することも可能としている。

 荷待ち・荷役時間の削減について、ガイドラインではトラック予約受付システム(バース予約受付システムと同義)の活用や受発注から出荷までにリードタイムを適切に設けることなどを推奨している。

 なお、ガイドラインでは「多くの店舗や集荷・分荷の拠点を持つ小売業や卸売業」を例に挙げ、荷待ち・荷役時間が一定時間以内である場合には報告を省略できるとしている。「省略可能な報告については引き続き検討を進める」としているものの、事実上の骨抜き規定にならないことを祈るばかりだ。

 また物流効率化法をきちんと読んでいない一部の荷主や運送会社では、輸送効率の向上(積載効率の向上)を図るため、時代に逆行した手積みを検討しているという話も筆者の耳には入っている。物流効率化法では、「パレットその他の荷役の効率化に資する輸送用器具」を使用しないと輸送効率の向上と見なさない旨が明記されているので注意してほしい。 【次ページ】【ポイント2・3】CLO・書面交付・白トラ利用・優越的地位の濫用
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