• 2026/04/24 掲載

トラック運転手「賃上げなし」65%の衝撃…賃上げした「運送2社」との決定的な違い

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人手不足なのに賃金が上がらない──トラックドライバーを対象にした最新調査を見ると、65.7%が「賃上げを実感していない」と回答し、さらにはなんと21.7%が「賃金が下がった」と答えた。一方、政府の物流改革の取り組みや法改正などが進み、着実に運送会社の追い風となっている。事実、今回取材した運送会社の2社も法改正などを後押しにドライバーの待遇改善が進めやすくなったという。では、賃上げできている会社とできていない会社は何が違うのか。トラック運送業界の実態に迫る。
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賃上げできる会社とできない会社の違いとは何か(後ほど解説します)

賃金上がった「実感なし」まさかの65%超え

 トラック運送業において新規採用は難しい状況が続き、人手不足感は依然として深刻だ。運輸業の有効求人倍率は常に全職業平均を大きく上回って推移しており、慢性的かつ異常な人手不足が常態化している。若年層の車離れや、免許制度の改定により高校卒業後すぐに中型・大型トラックを運転できなくなった制度的な障壁もあり、新規入職者の流入は極めて限定的だ。

 労働供給がひっ迫すれば、人材確保のために賃金が上昇するのは市場メカニズムの常である。しかし、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」を参照すると、トラックドライバーの平均賃金は全産業平均を常に下回る水準にとどまっている。全産業平均が527万円に対して、営業用大型貨物自動車運転者は492万円、大型車を除く営業用貨物自動車運転者が437万円だった(図1)。

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【画像付き記事全文はこちら】図1:トラックドライバーの平均賃金は、給与が高くなりやすい大型で見ても全産業を下回る
(画像:厚生労働省 特設ページより編集部作成)

 事実、物流関連サービスの開発を手掛けるHacobuが全国のトラックドライバー1516人を対象に実施した実態調査(4月15日発表)によると、直近の賃金に関して「上がった実感がない」との回答が65.7%に上った(図2)。

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図2:直近1年での賃金に関して「上がった実感がない」との回答が65.7%に上る
(画像:Hacobu調査より編集部作成)

 さらに、約2割のドライバーが「少し下がった」「下がった」と回答。残業前提の給与体系が多かったトラックドライバーにおいて、働き方改革による労働時間や残業の減少は収入減少につながるケースもあり、その実態が表れていると言える。なお「収入が減った主な理由」について聞いてみると、「仕事量(件数・距離)の減少(44.9%)」、「残業・時間外労働が減った(39%)」だった。

 一方、運送会社の中でもドライバーの給与アップに励む企業は一定数存在する。航空貨物輸送を手掛けるロジックスライン(千葉県成田市)は定期昇給とは別に昇給を実施。さらに、食品原料輸送などを手掛ける別の運送会社も1日200円(25日稼働なら月5,000円)のアップを行ったほか、3年前から定期昇給を開始したり、退職金の積立額を月4,000円から8,000円に倍増させるなどドライバーの待遇改善に努めている。

 では、こうした賃上げできている運送会社と賃上げできていない運送会社にどのような差があるのだろうか。

働き方改革が生んだ「厳しい副作用」

 まず2024年4月から適用された時間外労働の上限規制(年間960時間)は、長時間労働を是正し、業界を魅力的なものにして人材流入を促す狙いがあった。だが現実には、多くの場合、労働時間の短縮がそのまま基本給のベースアップに直結することはなかった。

 運送業界の多くは、基本給を低く設定し、長時間の残業代や走行距離に応じた歩合給によって総支給額を補うという賃金体系を維持してきた。労働時間が法的に制限されれば、当然ながら残業代は消滅する。

 本来であれば、労働時間が減っても同等の生活水準を維持できるよう、運賃の引き上げによる原資の確保と、基本給の大幅な引き上げが行われなければならない。しかし、多くの企業ではその原資を確保できず、結果として「働く時間は減ったが、手取り額も減少し、生活が苦しくなった」という副作用を生み出した。

 事業の収益性を高める「質の改革」を伴わないまま労働時間という「量の制限」だけを先行させたことが、皮肉にもドライバーを経済的な困窮へと追いやり、人手不足などを背景とした自然な賃上げメカニズムを覆したと言える。 【次ページ】賃上げできない「最大の理由」=運送2社が賃上げできた理由
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