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- 2025/07/25 掲載
初日から“逆走”……それでも勝てる? 王者・ウェイモに挑む「テスラ」ロボタクシー
篠﨑教授のインフォメーション・エコノミー(第184回)
九州大学大学院 経済学研究院 教授
九州大学経済学部卒業。九州大学博士(経済学)
1984年日本開発銀行入行。ニューヨーク駐在員、国際部調査役等を経て、1999年九州大学助教授、2004年教授就任。この間、経済企画庁調査局、ハーバード大学イェンチン研究所にて情報経済や企業投資分析に従事。情報化に関する審議会などの委員も数多く務めている。
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・著者:篠崎 彰彦
・定価:2,600円 (税抜)
・ページ数: 285ページ
・出版社: エヌティティ出版
・ISBN:978-4757123335
・発売日:2014年3月25日
ウェイモとは“真逆”……「目と脳だけ」で挑むロボタクシー
EV(電気自動車)大手のテスラは、2025年6月22日にテキサス州オースティンで「モデルY」をベースとした自動運転「ロボタクシー」の試験運行を開始した。その取り組みには、先行するグーグル系の「ウェイモ」とは異なる事業展開上の特徴があるようだ。第1は実装される技術だ。前々回解説したように、ウェイモはLiDAR(ライダー)と呼ばれる特殊なセンサーやミリ波レーダー、カメラを用いて周囲の情報を集め、AIが運転操作を判断する。
一方、ロボタクシーはLiDARなどのセンサー技術を使わず、カメラ(目)とAI(脳)だけを頼りに自動運転の実現を目指している。
LiDARなど高価な装備を削ぎ落すという意味では、身軽な軽装備の車両といえる。不透明感はあるものの、うまくいけば、先行するウェイモなどの重装備陣営を猛追して追い越す急展開があり得るとの見方もある。
第2は車両の展開力だ。テスラは、勢いに鈍化はみられるものの、EV車の世界市場で中国BYD社と1位争いを繰り広げており、車両の生産力で大きな存在感がある。EVはソフトウェアや電池などに巨額の投資が必要なため、量産効果による「規模の経済性」は、事業展開で威力を発揮するだろう。 【次ページ】買った車が「勝手に稼ぐ」、テスラが描く“交通の未来”
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