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- 2025/09/10 掲載
【どう動く日本】テスラ自動運転が「日本上陸」、業界地図を変える“覇権争い”の行方
篠﨑教授のインフォメーション・エコノミー(第186回)
九州大学大学院 経済学研究院 教授
九州大学経済学部卒業。九州大学博士(経済学)
1984年日本開発銀行入行。ニューヨーク駐在員、国際部調査役等を経て、1999年九州大学助教授、2004年教授就任。この間、経済企画庁調査局、ハーバード大学イェンチン研究所にて情報経済や企業投資分析に従事。情報化に関する審議会などの委員も数多く務めている。
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・著者:篠崎 彰彦
・定価:2,600円 (税抜)
・ページ数: 285ページ
・出版社: エヌティティ出版
・ISBN:978-4757123335
・発売日:2014年3月25日

ついに日本で……「自動運転タクシー戦争」始まる
インフォメーション・エコノミーの領域には、次々と新しいテクノロジーが登場し、それを活用したさまざまな新ビジネスが創出されている。フィジカルAIの象徴といえる自動運転タクシーはその典型といえるだろう。米国では、グーグル系の「ウェイモ」やテスラの「ロボタクシー」など多様な試みで商業化の取り組みが起きている。こうした果敢な挑戦の勢いは日本にも及んでおり、ウェイモは2025年4月に東京都心部の公道で自動運転車の走行を開始した。
これに続き、テスラも8月に日本の一般道で自動運転のテスト走行を始めたとする動画を公式Xに投稿した。
FSD (Supervised)のテスト走行を本格開始
— Tesla Japan (@teslajapan) August 20, 2025
*国内リリース時期は、弊社開発状況及び規制当局の許認可に依存します。 pic.twitter.com/0DmacEkTXq
この取り組みは、仮ナンバーの試作車をテスラ社員が手を添えて運転監視する「レベル2」の自動運転走行だ(日本経済新聞[2025a, b])。LiDARや高精度の3D地図は不要であり、認識・判断・操作のすべてをカメラとAIが担う「E2E(End to End)方式」で市街地における自動運転の性能検証を行うのが目的とされる。
レベル2の自動運転は、日本の法律で認められており、トヨタ自動車はじめ各社もすでに実装している。ただし、国土交通省が定める保安基準やガイドラインなどの条件があり、高速道路での運転支援機能(自動追従)に留まっていた。
今回の取り組みは、Full Self-Driving(Supervised)となっており、文字通り有人ドライバーによる常時監視のテスト走行だが、乗用車による市街地の一般道走行はテスラが先陣を切った形だ。 【次ページ】「日本の交通ルール」に世界注目、“右ハンドル市場”の優位性
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