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  • 2025/08/22 掲載

地方より「東京」……クルマ100年史で判明、自動運転の王者“ウェイモ”の歴史的決断

篠﨑教授のインフォメーション・エコノミー(第185回)

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揺籃期の自動運転市場では、各社が主導権を巡ってしのぎを削っている。この構図は約130年前の自動車産業を彷彿とさせる。当時は、蒸気自動車、電気自動車(EV)、ガソリン車が三つ巴となって勢力を競う“三国志”の様相だった。一時はEVが本命視されながらも、最終的にはガソリン車が20世紀の覇者となった。その歴史は、自動運転市場の今後を読み解くカギにもなりそうだ。今回は、グーグル系自動運転タクシー「ウェイモ」が初の海外進出先に「東京」を選んだことにもつながるその要因について考えてみよう。
執筆:九州大学大学院 経済学研究院 教授 篠崎彰彦

九州大学大学院 経済学研究院 教授 篠崎彰彦

九州大学大学院 経済学研究院 教授
九州大学経済学部卒業。九州大学博士(経済学)
1984年日本開発銀行入行。ニューヨーク駐在員、国際部調査役等を経て、1999年九州大学助教授、2004年教授就任。この間、経済企画庁調査局、ハーバード大学イェンチン研究所にて情報経済や企業投資分析に従事。情報化に関する審議会などの委員も数多く務めている。
■研究室のホームページはこちら■

インフォメーション・エコノミー: 情報化する経済社会の全体像
・著者:篠崎 彰彦
・定価:2,600円 (税抜)
・ページ数: 285ページ
・出版社: エヌティティ出版
・ISBN:978-4757123335
・発売日:2014年3月25日

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ウェイモが地方ではなく「東京」を選んだワケとは?
(Photo:JChangCC / Shutterstock.com)

「自動運転」戦国時代──130年前の“三国志”が未来を予言

 前回解説したように、現在揺籃期の自動運転タクシー市場ではウェイモやテスラなどさまざまな勢力が激しい主導権争いを繰り広げている。

 現時点ではウェイモが一歩リードしている観はあるが、この先どの道筋が成功につながるかは予断を許さない。

 130年前の自動車市場も似たような状況だった。20世紀に主流となったガソリン車は当初から優勢だったわけではない。当時の自動車市場では蒸気自動車、EV、ガソリン車が三つ巴の主導権争いを繰り広げ、一時はEVが最も人気だったほどだ。

 EVといえば、2020年前後から急速に普及し始めガソリン車を猛追している。そのため、新規参入勢力だと誤解されがちだが、実はEVの歴史はガソリン車よりも古い。イギリスで電気式四輪トラックが実用化されたのは1873年のことだ。

 そもそも、1769年にフランスで開発された世界初の自動車は動力源が蒸気機関だった。イギリスで蒸気機関を改良したワットが特許を取得し、江戸時代の日本では田沼意次が老中に就任した年だ。この世界初の蒸気自動車は大砲の運搬が目的だったとされる。

 当時の欧州では、陸上輸送の主な手段が馬車だったため、自動車が競合するようになると、馬車の事業者からの反発が大きくなり、蒸気自動車を規制する「赤旗法」も制定された。いつの時代も、新規参入者は既得権益を持つ業界からの抵抗が避けられないようだ。 【次ページ】意外すぎる真実……1900年の覇者は「EV」だった
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