• 2026/06/04 掲載

【保存版】製造業のデータ分析「Claude圧勝」、Excel地獄に別れを告げる「3ステップ」(2/2)

連載:製造業に役立つ生成AI活用術

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【ステップ2】センサー値の分析で「問題の根本」を探る

 STEP 1でEQ-B2(溶接機B)の不良率が突出していることがわかりました。次はセンサー値(温度・振動・電流)の月別推移を確認し、異常の予兆がいつから始まっていたかを特定します。
■Claudeへの入力(コピペOK)
STEP 1でEQ-B2(溶接機B)の不良率が突出していました。
この設備に絞って、全センサー値の推移をグラフ化してください。

#依頼概要
1. EQ-B2の月別(5~10月)平均センサー値を折れ線グラフでプロットしてください。
加えて、各センサー9種の検査結果OKの場合の上限と下限を破線で引いてください
また正常値を超えた(または下回った)領域を赤色で塗りつぶして欲しい
2. EQ-B2の温度(℃)と不良率(%)を1つのグラフにまとめて表示
・左軸:平均温度(℃)(折れ線)、右軸:不良率(%)(棒グラフ)
・正常上限に破線を引く

■ 出力形式
・タイトル・軸ラベルはすべて日本語
・グラフの下に「いつからセンサー異常が始まっていたか」を1~2文で
 ここでのプロンプトで、出力精度を上げるコツは次の3点です。

  1. 1.異常値(しきい値)の「定義」をAIに丸投げしない
     異常値の定義をAIに委ねず、「OKデータの平均±3σ」や「最大・最小値」といった具体的な計算ロジックを指定することで、基準が明確になります。

  2. 2.グラフの「レイアウト」を指定する
     多数のセンサー値を1つのグラフに詰め込むと、単位や尺度の違いで判読不能になる場合があるので、「3×3のサブプロット(分割表示)でグラフを生成してください」など指示するのもおすすめです。

  3. 3.「2軸グラフ」のジレンマを解消する
     温度と不良率のように単位が異なる指標を比較する際は、第2軸(TwinX)の使用を明記すると良いです。スケールを左右の軸で分けることで、両方の推移が潰れずに表示され、因果関係の有無を正しく検証できるようになります。

 このプロンプトを入れた結果が以下の画像となります。

画像
出力結果1:2つのグラフの解説と分析結果とともに、異常開始時期の考察をまとめてくれる
(筆者提供)

画像
出力結果2:Claudeによって作成されたグラフ1。各種センサーの月別平均値(X軸は2024年5~10月、Y軸は各センサー値)。異常値は赤い丸で強調するなどひと目でわかるように示してくれる
(筆者提供)

画像
出力結果3:Claudeによって作成されたグラフ2。月別温度推移と不良率の関係。10月で異常値が出ていることがすぐにわかる
(筆者提供)

【ステップ3】原因を特定し「予知保全の対策プラン」計画

 センサー異常が9月から始まっていたことがわかりました。Claudeにそのまま「なぜ?」「どうする?」と問いかけます。専任の設備保全担当者がいなくても、予知保全の考え方でアクションプランを整理できます。
■Claudeへの入力(コピペOK)
STEP 1・2の分析結果をふまえて、原因仮説・対策を一括で出してください。

#背景(分析済みの事実)
・EQ-B2(溶接機B)で9月から温度・振動・電流・消費電力・冷却水温度・ノイズ・トルクが上昇
・同時に油圧・回転数が低下。10月に不良率0.734%に上昇

#やってほしいこと
1. 原因仮説を3~5個、箇条書きで
・9種のセンサーが示す劣化パターン(温度↑振動↑トルク↑回転数↓)から考えられる設備劣化の原因を具体的に
・各仮説に「まず確認すべきポイント」を1行で
2. アクションプランを表形式で 列:対策内容 / 分類(短期 or 中長期) / 担当 / 期限 / 確認ポイント
 このプロジェクトで得られた結果が以下となります。

画像
出力結果1:原因の仮設を5つ出力してくれる
(筆者提供)

画像
出力結果2:今後の対策内容をアクションプランとして示してくれる
(筆者提供)

 今回Claudeから得られた原因仮説と対策は、一般的な知見を基に生成されています。各社で保有している過去トラブルの知見やノウハウをSTEP3に盛り込むことで、より角度の高い仮説と対策が得られるはずです。

 ただし、分析する前にも注意が必要です。使う前に以下の3点について確認しておきましょう。

  • 特に重要:機密データはそのまま送らない。社内のAI利用ポリシーを情報セキュリティ担当に確認すること
  • Claudeの出力はあくまで「たたき台」。数値は必ず元データと照合し、最終判断は担当者が行う
  • 列名に単位を入れる(「不良数」→「不良数(件)」で分析精度が上がる)

【数日→数時間】分析の常識が変われば「意思決定も激変」

 これまで、設備の異常原因を突き止めるには、エンジニアがExcelと格闘しながら何日もかけてグラフを作り、ようやく仮説を立てる、というのが当たり前でした。

 それが、Claudeを使えば数時間で「どの設備が・いつから・どのセンサーで異常を示しているか」まで可視化できます。分析にかかる時間が変われば、打ち手を出すスピードも変わります。

 ここで紹介したの3ステップは、他のデータでも使えます。たとえば以下の3点です。

  • 品質データ:不良モード別の発生傾向や、工程ごとの不良率推移を分析
  • 生産計画データ:計画vs実績のギャップを可視化して、ボトルネック工程を特定
  • 在庫データ:滞留品や欠品リスクを早期に検知

 何のために分析するのか? どんなデータをどのような手法で分析するのか? 本記事の3ステップを応用することで、手元にあるどんなCSVデータでも同じように分析できます。

 難しい準備は何もいりません。この記事で使ったダミーデータ(dummy_manufacturing_data.csv)をダウンロードして、Claude(claude.ai)に読み込ませて、ステップ1のプロンプトをそのままコピペするだけです。グラフが生成された瞬間、「Claudeってこんなことができるんだ」と実感できるはずです。

今日できる最初の一歩
  1. (1)claude.ai を開く
  2. (2)dummy_manufacturing_data.csv を添付
  3. (3)ステップ1のプロンプトを貼り付けて送信

 製造業の現場には、まだ眠っているデータが山ほどあります。Excelに入ったまま誰も分析していないデータ、紙の帳票に書かれたまま埋もれている記録。それを「使えるインサイト」に変える力が、今のAIにはあります。

 「データを見る目」を持った現場エンジニアが増えることで、日本の製造業はもっと強くなれると信じています。Claudeはその最初の一歩を、グッと手前に引き寄せてくれるでしょう。
筆者の髙橋和馬氏がビジネス+ITの有料リスキリング講座に登壇します。詳細は以下よりご覧ください
■製造業に特化した生成AI活用の実践講座:7月3日開催
 詳細はこちら:https://www.sbbit.jp/st/eventinfo/88849

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