- 2026/07/22 06:10 掲載
生成AIの請求書を見て絶句…予算オーバー招く「トークン課金」の罠、回避の4ステップ
準備不足のAI導入が招く“しっぺ返し”の罠
あらゆる企業でAI利用が加速している。背景にあるのが、AIに対する経営層の過大とも言える期待だ。ガートナーの調査によると、「AI/生成AIによりコスト削減が可能」と考える経営層は全体の85%に上るほか、「売り上げ増」についても86%、「利用メリットはリスクを上回る」と捉えている割合も87%に達している。こうした中、あらゆるITリーダーがその対応に迫られている。「そこで何より大切なのが十分な事前準備です」と訴えるのは、ガートナー ディレクター, アナリストのハンナ・デッカー氏だ。
理由は明快だ。デッカー氏は「どんなIT導入であれ、準備を怠っては手痛い“しっぺ返し”をくらってしまいます」と語る。しっぺ返しとはすなわち、ベンダーロックインに代表される諸問題である。
もっとも、生成AIの導入におけるリスクは、従来のIT導入のリスクとは異なる面があるとデッカー氏は指摘する。これまでのパッケージやSaaSのビジネスモデルは、コストをかけ開発したシステムを大量のユーザーに提供することで、高い利益率を実現していた。契約交渉の結果、大幅な値引きを受けられたのも、このビジネスモデルがあってこそだ。
対して生成AIのサービスは、提供にあたっても大量のデータや電力を消費し、ベンダーにとってそれだけ提供コストが高くつく。
「生成AIは従来にはなかった汎用的な技術であり、だからこそ革新技術として注目を集めています。ベンダーはこの期待感を、従来型の価格モデルの見直しに利用しようともくろんでいます。つまり、ベンダー側の利益率低下リスクを、ユーザー側に転嫁しようとしているのです」(デッカー氏)
厄介なのは、こうした問題が契約後に表面化しても、打ち手が限られることだ。準備不足で生成AI導入を進めれば、大幅な予算超過を招きかねない。では、企業は契約前に何をしておくべきなのか。デッカー氏によると、企業は「4つの準備」に取り組むべきだという。
知らぬ間に予算超過? トークン課金の“落とし穴”
1つ目のステップは、生成AIサービスで広く採用されている「クレジット/トークン・ベースの価格設定モデルに関する専門知識を社内で蓄積すること」だ。クレジット/トークン・ベースの価格設定モデルでは、まずサービスの利用期間内にどれくらい使うかを見積もり、利用金額を決める。支払った金額はクレジットに換算され、サービスを利用するたびにその内容や利用料に応じて消費されていく仕組みになっている。
ここで理解しておくべきなのが、「どのようなサービス利用で、どれくらいクレジットが消費されるのか」「消費金額が超過した際の課金の仕組み」「クレジット利用はユーザー単位か、組織単位か」「クレジットの有効期限」などだ(図2)。
「クレジットの追加購入は、最初の支払額より割高になるケースが一般的です。また、ユーザー単位でクレジットを利用する契約では、期限内にクレジットを使いきれないリスクが高まります。それらに起因する無駄なコストの削減に向け、専任の課金担当者を新たに配置すべきです」(デッカー氏)
あわせて、ユーザー部門へのヒアリングなどを基に、生成AIの将来的な利用の広がりを検討し、事前に予備費を確保する必要がある。そのうえで、ユーザー部門とコスト増加時の負担割合などについて合意を得ておくべきだという。 【次ページ】生成AIの「ROI」問題、測定企業はわずか43%の現実
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