• 2026/07/22 07:10 掲載

「それは無理」を覆す人は何が違う? 世界初CVTを生んだ“天才脳”をAIで再現

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「前例がない」「技術的に難しい」「現場が動かない」──新しい挑戦ほど、もっともらしい“できない理由”が次々と上がってくるものです。多くの人はそこでひるみ、チャレンジは止まってしまいます。しかし、世界初の3.5リットル大容量エンジン用CVTを開発した元ジヤトコ フェローの柴山尚士氏は、周囲から言われた「できない理由」こそをイノベーションの起点に変えました。では、真のイノベーターは反対意見をどう突破口に変えるのか。今回は、柴山氏の“天才頭脳”をAIで再現するプロンプトを公開します。
執筆:アクト・コンサルティング 取締役 経営コンサルタント 野間 彰

アクト・コンサルティング 取締役 経営コンサルタント 野間 彰

アクト・コンサルティング 取締役
経営コンサルタント

大手コンサルティング会社を経て、現職。
製造業、情報サービス業などの、事業戦略、IT戦略、新規事業開発、業務革新、人材育成に関わるコンサルティングを行っている。
公益財団法人 大隅基礎科学創成財団 理事。
関連著書『Think big Move fast M&Aを軸にした新規事業開発へシフトする方法』、『成功の拡大再生産 日本の再成長とAI活用競争で勝つために、問題解決一辺倒から脱却する』、『出来ない仕事にアサインし、矢面に立たせ、助けない 日本の成長限界を突破するコンサルティング会社のイノベーター育成方法』、等

Xアカウント:https://x.com/ACT_noma/
Linkedinアカウント:www.linkedin.com/in/彰-野間-74076076

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「できない理由」をイノベーションの“起点”にする方法
(写真:長田洋平/アフロ)

「それは無理」いつの時代も挑戦につきまとう“反対の声”

 新規事業、技術開発、DX、組織改革など、何か新しいことに挑戦しようとすると、必ずと言ってよいほど出てくるのが「それは無理ではないか」という声です。「前例がない」「技術的に難しい」「コストが合わない」「現場が動かない」。こうした指摘を受けると、多くの担当者はひるみます。

 もちろん、それらの指摘は間違いとは限りません。ただし、正しい指摘を並べるだけでは、現状の延長線を超えるイノベーションにはたどり着けません。

 高いゴールには、必ず現状とのギャップがあります。そのギャップを見た人は「だから無理だ」と考えます。一方、真のイノベーターは「では、何を解けば実現できるのか」と考えます。「できない理由」は、挑戦を止める壁ではありません。見方を変えれば、ゴールの実現に必要な課題リストそのものなのです。

 では、「できない理由」をどのように「解くべき課題」へ変えればよいのでしょうか。そのヒントになるのが、世界初の3.5リットル大容量エンジン用CVT(無段変速機)を開発した、元ジヤトコ フェロー・柴山尚士氏の思考です。後半では、その思考を再現するためのAIプロンプトを紹介します。
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世界初CVTを開発、柴山氏は「できない理由」をどう覆した?

イノベーター:元ジヤトコ フェロー 柴山尚士氏
世界初の3.5リットル大容量エンジン用のCVT(無段変速機)開発。

──世界初、誰もが無理だと思っていた、3.5リットルエンジン車用の大容量CVTを開発しました。なぜ、このようなイノベーションが達成できたのでしょうか。

柴山氏:当時は、社内でも、顧客であるカーメーカーや指導を受けていた大学教授も「ベルト式で3.5リットルなどできるはずがない」という意見でした。しかし、これが開発できれば、既存のCVTと合わせてすべての車種に対応でき、また系列カーメーカーが当時ハイブリッド車で競争相手に遅れていた中で、燃費を向上させる切り札にもなる大変重要なテーマでした。

──周囲から「できない」と言われる中で、どのように開発を進めたのでしょうか。

柴山氏:上長と2人で、周りから言われた「できない理由」、つまり科学的に証明されたわけではない「風説」をすべて出し尽くしました。たとえば、ベルトの応力破壊はベルトを薄くして曲げ半径が小さくならないように気をつければ解決できる。あとは油圧をしっかりかければいいなどです。そうした形で、できない理由を1つずつ課題として捉え直していきました。

──「できない理由」が、解くべき課題、つまりイノベーションのスタートになったのですね。

柴山氏:そうです。それと、周りに助けられました。開発を進めながら、必要性と実現性を仲間に語る中で、やがて経営者の支援者を得ることができ、仲間も増やし、いくつもの壁を乗り越えて開発に成功しました。

 開発に成功した後、社長がこの開発実績を聞き、「チャレンジ」という全社活動をスタートさせました。具体的には、まず理想像を描き、次にできない理由を出し尽くし、関係者全員で知恵を結集してできない理由を1つ1つ潰していくという方法です。この「チャレンジ」は、研究開発部門のみならず、生産、管理部門にも広がっていきました。

真のイノベーターはなぜ「反対意見」を歓迎するのか?

 イノベーションは、現状の延長線を超える活動であるため、変革への抵抗や現在の常識に基づいて「できない理由」を指摘される場合があります。時には、担当者自身が、ゴールの高さを前にひるみ、自分からできない理由を考えることもあります。

 ただし、前述したとおり、「できない理由」はゴールに近づく課題を示しているとも言えます。「できない理由」を「解くべき課題」へと再定義し、あとは課題を1つ1つ解決していけばゴールは達成できることになります。

 また「できない理由」を指摘するのは、ゴールを理解し実現の知見を持った相手や、生み出すイノベーションを使ってくれる相手です。つまり課題解決を一緒に行う仲間になる可能性がある人材です。

 そこで上記の議論によって、その場を前向きに変え、仲間を増やすこともできます。課題が分かれば、ゴールがどんなに難しくても、仲間と衆知結集し、課題解決に動き始められます。この場合、課題の抜け漏れを無くし、より良い解決策を生み出すために、仲間を増やすために、耳の痛い指摘をする相手にも積極的に会いに行き、議論することが必要です。

 なお後述しますが、この「成功の方法」は、組織をより前向きに変える突破口にもなります。 【次ページ】【神プロンプト公開】「世界初」を生んだ天才頭脳をAIで再現
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