• 2026/08/12 11:15 掲載

核融合商用化へ前進──京都フュージョニアリング、米国に世界初ブランケット実証施設

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京都フュージョニアリングは8月12日、米オークリッジ国立研究所(ORNL)と、増殖ブランケット試験施設「UNITY-3」をテネシー州オークリッジに建設すると発表した。燃焼プラズマで生じるものと同等の14MeVの中性子環境を再現し、核融合燃料となるトリチウムの生成量などを測る。米国本社も同地へ移し、4,690万ドル(約75億円)を投じて51人を雇用する計画だ。
 増殖ブランケットは、核融合反応で発生する中性子のエネルギーを熱として取り出すとともに、リチウムと中性子を反応させて核融合燃料となるトリチウムを生成する装置だ。自然界にほとんど存在しないトリチウムを核融合炉の中で生産するため、将来のD-T(重水素・三重水素)核融合発電を実現する上で重要な設備となる。

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【図版付き記事はこちら】
得られたデータは計算モデルだけでなくAIを用いたデジタルツインの学習や検証にも活用する
(画像:本文をもとに生成AIで作成)

 一方、増殖ブランケットや燃料サイクルは技術成熟度が十分ではなく、実際の核融合炉に近い中性子環境で得られる実測データも限られてきた。UNITY-3では中性子エネルギーとトリチウム生成量を高感度で測定し、発電所の設計に使う計算モデルの妥当性を検証する。

 ORNLは、UNITY-3について、中性子源の形状、試験体の規模、深さ方向の計測能力を組み合わせた「類を見ない施設」と位置付けている。得られたデータは計算モデルだけでなく、AIを使ったデジタルツインの学習や検証にも活用する計画だ。

 米エネルギー省(DOE)が2026年6月に公表した核融合科学・技術ロードマップでは、2030年代半ばまでの核融合パイロットプラント実現に向け、重要インフラや先端計算・AI、官民連携などを重点分野に掲げている。UNITY-3もDOEの資金支援を受け、官民連携で整備する。

 京都フュージョニアリングはこれまでに、京都府久御山町で核融合発電に必要な熱サイクルなどを試験する「UNITY-1」を稼働させている。また、カナダではD-T燃料サイクル統合試験施設「UNITY-2」を開発中だ。

 UNITY-3が加わることで、同社の試験施設は熱サイクル、燃料サイクル、中性子工学やトリチウム生成といった核融合発電に必要な複数の領域へ広がることになる。

 共同創業者で代表取締役会長の小西哲之氏は「フュージョンの商用化は、もはや物理学上の課題にとどまらない」と指摘。実用化に向けてエンジニアリングや技術開発の重要性が高まっているとの認識を示した。

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