- 2026/08/31 06:50 掲載
【比較】富士電機・日立ら5社「AI電力特需」でもなぜ差? 決算が示す“成長の源泉”(3/4)
電力需要拡大でもなぜ差がつく? 明暗分ける「3条件」
第1は、受注増のうちAIデータセンター需要がどこまで直接寄与しているかだ。富士電機はデータセンター向け受注額や売上高見通しを具体的に開示している。一方、日立の大型HVDC案件、明電舎の海外変電、ダイヘンの蓄電池システムは、AIだけでなく送電網更新や再生可能エネルギー拡大の影響も大きい。「AI関連」という言葉だけで各社を同列に扱うと、実際の需要構造を見誤る。
第2は受注を売上に変える能力である。現在の電力インフラ市場は「注文を取れるか」だけではなく、「いつ納入できるか」が競争力になる。この点で象徴的なのが、増産を急ぐ富士電機と、巨額の受注残を抱える日立だ。
富士電機は国内で変圧器や配電盤などの増産に向けて生産能力を増強しており、タイなど海外でも増産体制を強化している。北米向けについてもUL認証を取得し、すでに小規模ながら受注を獲得している。
日立では受注残の規模の大きさが目立つ。日立エナジーの受注残は、前期末の579億ドルから、2026年6月末には636億ドル、円換算で約10兆3,000億円まで拡大した。製品だけでなくHVDCなど大型システム案件を長期間にわたり抱えており、第1四半期にもエナジー部門で1兆9,063億円を受注した。受注残の売上転換はすでに進んでおり、同社は2026年度のエナジー部門売上収益を前年比26%増の4兆600億円と見込む。今後は生産能力の増強と案件遂行を通じ、この成長をどこまで持続できるかが焦点になる。
また、受注を利益につなげるには、原材料価格の上昇を販売価格へ転嫁できるか、案件構成の改善によって採算を高められるかも重要になる。
そして第3が製品領域だ。AIデータセンターの設備は、変圧器1台では完結しない。受変電設備やUPS、蓄電設備、配電設備に加え、サーバを冷却する設備など、複数のシステムが必要になる。
三菱電機は北米UPSに加え、米オハイオ州で既存建屋を改修・転用し、データセンター向け冷却機器の製造拠点を立ち上げる。同社の発表では2027年4月の生産開始を目指している。一方、明電舎は変電設備に強く、ダイヘンは配電機器や蓄電池システムを展開する。企業規模だけでなく、需要が急増する分野にどれだけ生産能力と製品を振り向けられるかが今後の収益性を左右しそうだ。
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